蓮池もも展

1月11日sat―2月1日sun

vol.451

 無機物でも有機物でもない水。生命にも生命でないものにも属さない流体が、坂を下り、岸を押す。蓮池ももの「連作」はそのようなものの運動に見える。昨年6月の個展の連作の発表で、異質な2点「地図」「渦と三角」が展示されたが、それらを源とする新しい流れが今回の島、川のシリーズである。前回の、光の人々の連作の後半にも、水や湿地のイメージが浮上していた。
 島、川と言っても、現実のそれらを単純に描いたものではない。蓮池にとって描くことは、描写し、つかむことでなく、土地を切り、流れる道を作ることに似ている。いくつかの型に分類できる文様的な線を延長し、組み替え、つないでいく編み物にも似た小さい作業の連なりを通って、作者は内側を遡行し、奥から湧出し、連なりを下って行きたがるものを、行かせる、行き着くところへまで。それらとともに、見る私も「行き」ながら、広がり、分岐し、無数の潟に、海になり、そして波に貫通される。
 人間のでもなく、人間でないもののでもない、自然の、精神のドラマの壮大なパノラマが生まれる。(企画 大倉 宏)

PROFILE
蓮池もも(はすいけ もも) 1983年新潟市生まれ。2006年fullmoon upstairs、07・08・09・10・11年画廊Full Moon、12年砂丘館で個展。新潟絵屋では10・12・13・14年個展開催。12・13・14年絵屋便・表紙絵を連載する。12年2月「新潟の画廊から 栗田宏/アンティエ・グメルス/蓮池もも」(ギャラリーKANI/東京中野)出品。2015年7月ギャラリ―島田(神戸市)にて個展開催予定。
http://www. .com/

PHOTO:「  」201 年 

■関連イベント
①1/17(土)19:15~ 絵を見る話の会 会場:砂丘館
今回の一枚・蓮池もも「地図」 案内人:大倉 宏
700円茶菓付/定員20名※中学生以上/要申込・砂丘館 025-222-2676
②1/31(土)18:00~19:00 蓮池もも ギャラリ―トーク 会場:新潟絵屋
500円/申込不要・直接会場へ

SONG BOOK アンティエ・グルメス展

2014年12月17日wed―12月25日thu

vol.450

 アンティエ・グメルスが、新潟絵屋に帰ってきた!
 そう叫びたくなる久々の個展。2001年以来、7回目。前の6回の一つ一つを思い出すと、わずか10年に、なんという変化が、ひとりの画家に起こったことだろうと、今さらながら、驚かずにいられない。それから約5年。東日本大震災の直前にドイツに行き、故郷の町で暮らしはじめた画家の生きた時間を、絵で感じることのできる機会がめぐってきた。
 やはり、新しい事態が生まれていた―と、SONGBOOKと名付けられた美しいドローイングのシリーズを見て思う。
 軽快に弾むような線、色、光。ラフで、自由で、生き生きした絵は画家が無意識に口ずさむ歌とともに生まれてきたようだ。あの「光の絵」からの何という変化…と思う一方で、これは「光の絵」のその後の姿なのだとも感じられてくる。10年前の劇的変貌を、新星の誕生にたとえたことがあった。その新しい星の光が、地上にとどき、岩を砕き、土を交ぜ、水を、霧を生み、小さい生命が生まれ、それらが動きだし、呼びかわし、風が舞い、昼と夜が豊かな陰影を刻みはじめる。歌われているのは、そんな「地上の誕生」だ。(企画 大倉 宏)

PROFILE
Antje Gummels(アンティエ・グメルス) 1962年旧西ドイツ・レーゲンスブルグ生まれ。78年イタリア・サンレモへ移住し各国アーティストと交流。87年に来日し新潟県巻町(現新潟市西蒲区)に住む。92年麻布工芸美術館(東京)、92・94年創庫美術館(新潟)、96年北方文化博物館(新潟)、98年ストライプハウス美術館(東京)、2001・05・07・09・11年新潟絵屋、07年砂丘館(新潟)、05年アートフロントギャラリー(東京)、画廊Full Moon(新潟)、07年ギャラリーARKA(ウラジオストック)、ギャラリー128(ニューヨーク)、08年中之沢美術館(前橋)、ギャラリーアートコンポジション(東京)、10年游文舎(柏崎)で個展。09年大地の芸術祭、11~14年観○光ART EXPO(京都、鎌倉)に出品。現在ドイツ在住。

PHOTO:ドローイング・シリーズ SONGBOOK「163」2014年 ミクストメディア・紙 29.7×21.0cm