ギャラリー&ミュージアムマップ 2015年9-10月号

私たちは、画廊や美術館を巡るひとが増えるにはどんな環境が必要か、考え続けています。
2008年創刊、毎月無料配布の情報冊子です。

新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2015

9月20日(日)- 10月25日(日)

ギャラリーマップ2015年9月-10月

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ギャラリーマップ2015年9月-10月

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北書店 Yukar 七里知子 メゾチント作品展

9月24日thu―10月12日mon

アイヌの情景豊かな神謡や昔話から着想を得て制作された銅版画の展覧会。
今回は原画とともに、それらを収録した新作豆本「Yukar(ユカラ)」もご紹介します。

会場:北書店画廊(新潟市中央区医学町通2番町10-1ダイアパレス医学町1F 025-201-7466*日曜日お休み)

PROFILE
七里知子(しちり ともこ)
1978年北海道生まれ。2002年京都造形芸術大学美術工芸学科洋画(現・油画)コース卒。04年同大学院芸術表現専攻修士課程修了。06・07・09・11・12・ 13・14年Gallery MIYASHITA(札幌)にて個展。14・15年恵文社一乗寺店(京都)にてメゾチントによる小品を発表。京都市在住。

PHOTO:Yukarより「虹の秘密」

下は蔵書票。
お気に入りの本に貼ってお役立ていただいたり、小さいフレームに入れて飾っても◎。
(雁皮紙/2種2色)各¥1,728-税込
七里蔵書票B-black

岡谷敦魚 版画展

9月2日wed―10日thu

vol.468

 イギリスの高名な美術史家の大著「芸術と幻影」は、平らな面にどーして奥行きが見え、人や空や船が見えるのか、という謎をめぐってあれやこれや書かれた本だった。
 岡谷敦魚の「遠方の丁字路」シリーズは「空間的な遠近感というよりも、むしろ平面的な色面構成」を考えたものだそうで、つまりT字の道を描くと ̄が「遠方」になり平面がゆがむ。この<ゆがみ>を正す、直してみようとする試みであるらしい。クレヨンを横に押し付けて描く。半透明な和紙を重ねる。それでも足りず線にピアノ線を重ね、貼ったことが分かるようテープで貼る。手を変え品を変えつっかえ棒をしたわけで、それでもT字は彼方に傾斜していく。行儀のわるい言葉や悲鳴が弾けでる絵は、すこぶるにぎやかで、生きている。(企画 大倉 宏)

岡谷敦魚(おかのや あつお)
1971年東京都生まれ。94年武蔵野美術大学油絵学科版画コース銅版画専攻卒。04年東京芸術大学大学院美術研究科造形学美術教育修了。99年~ギャラリー21+葉(銀座)、Switch Point(国分寺市)、画廊 編(大阪)、mu-an(長岡市)、楓画廊(新潟市)などで個展。グループ展多数。現在、長岡造形大学美術・工芸学科准教授。長岡市在住。

PHOTO:「遠方の丁字路」インタリオ・リトグラフ・スクリーンプリント・ピアノ線・雁皮紙/版画紙

麻生知子・武内明子展 ー制作と生活ー

9月12日sat―20日sun

vol.472

 2009年、麻生知子と武内明子が始めた「ワタリドリ計画」。日本全国、展示場所と題材を求め、二人で旅して、展覧会を開催してきた。これまでに降り立った土地は、札幌、青森、盛岡、静岡、名古屋、横浜、熊本、天草、茨城、府中、栃木、玉島、新潟(09年新潟県立近代美術館、10年新潟絵屋)など。各地で展覧会をすると同時にその土地の絵葉書を作っている。その絵葉書は、麻生と武内が当地の景色に写り込んだモノクロ写真を素材に、油絵の具による手彩色で仕上げたものだ。今回はワタリドリ計画ではないが、旅の手彩色絵葉書の新作と未発表作品も展示予定である。「2人展」という形は久しぶりなので、本人たちもとても楽しみにしているという。陶と絵と手彩色絵葉書。ふたりの普段の制作と生活が垣間見え、目からの脱力効果を得られそう。(企画 井上美雪)

PROFILE

麻生知子(あそう ともこ)
1982年埼玉県生まれ。主な展覧会は、2009年VOCA展(上野の森美術館)、14年横須賀美術館「おいしいアート 食と美術の出会い展」、村越画廊「大人、小人展」(銀座)など。
武内明子(たけうち あきこ)
1983年熊本県生まれ。東京を拠点に活動。近年の個展は2010年宇城市不知火美術館(熊本)、14年なかお画廊(熊本市)、14年ギャラリ―モリタ(福岡市)など。13年台湾にて滞在制作。15年5月より熊本県津奈木町で滞在制作、秋にはつなぎ美術館で個展開催。14年からは、若木くるみとの活動も展開している。
二人はともに東京造形大学絵画専攻を卒業。ワタリドリ計画としての主な活動:2011年府中市美術館公開制作、12年VOCA展、東京都写真美術館でのワークショップなど。

■作家在廊日:9/12.13

■8/4(火)~10/25(日)「ワタリドリ計画」開催中。
会場:坂本善三美術館(熊本県阿蘇郡小国町黒渕2877)

武内

PHOTO:
(上) 麻生「タイル風呂」2015年 陶、タイル、木 23.0×38.0cm
(下) 武内「○○○○」2014年 ミクストメディア/パネル 29.7×42.0cm

宇梶静江展

9月22日tue―30日wed

vol.473

 刺繍にも、絵やピアノと同じタッチがあるのだなあと、宇梶静江の刺繍を見て思う。絵の場合は筆が紙にさわった跡だが、刺繍のそれは「一針の糸」。誰が刺しても同じみたいなのに違う。ピアノのタッチに似て、この刺繍のタッチは、一針に一針がつながり、重なっていくリズム、呼吸から生まれるのだろう。
 宇梶のタッチは彼女の人間、人生のように生き生きして、弾んでいる。動物の神が一人称で語ったりするアイヌの神謡や叙事詩には、新鮮な泡がつぎつぎはじけるような、スケールの大きいリズムが躍動している。宇梶がそれらに引かれたのは、彼女のリズムとアイヌ詩のそれが、互いを発見し合ったということだろう。
 3年前の芸術祭で新潟とアイヌ文化の縁が生まれた。今回もこの個展と平行していくつもの催しがある。80を越えて元気な宇梶静江や、ほかのアイヌの方々に会える。自国のなかのもうひとつの文化を、存分に感じたい。(企画 大倉 宏)

PROFILE
宇梶静江(うかじ しずえ)
1933年北海道浦河郡アイヌの家庭に生まれる。20歳で中学を卒業後東京に行き苦学。結婚後は東京に来るアイヌのウタリの面倒を見ながら2児を育てる。72年朝日新聞にアイヌの連帯を呼びかける投書をし反響を呼ぶ。アイヌの権利獲得の活動に挺身する。60歳をすぎてアイヌ刺繍を学び直し、和服ちと刺繍による古布絵でアイヌの精神世界を描く作品制作を始める。古布絵による絵本に『シマフクロウとサケ』『セミ神さまのお告げ』『トーキナ・ト』(いずれも福音館書店)。2011年吉川英治文化賞受賞。水と土の芸術祭2012(新潟市)に参加。

関連イベント
■9/22(火)~30(水)「宇梶静江の世界展」
会場:てんゆう花(新潟市北区木崎2 025-387-4110/10:00~17:00)

■ウポポリムセの会主催
・8/28(金)~30(日)特別展示「アイヌが伝えてきたもの」会場:旧二葉中学校・音楽室(新潟市中央区二葉町2-5932*水と土の芸術祭2015ベースキャンプ/10:00~18:00)
・9/25(金)19:00~21:30 「宇梶静江アイヌ叙事詩を語る」会場:福島潟 潟来亭(新潟市北区前新田乙/定員50名/要予約(ウポポリムセの会090-8743-9626 upoporimuse@gmail.com)
▶ https://www.facebook.com/UpopoRimse

PHOTO:「向かう」2015年 刺繍 27.0×37.7cm