ギャラリー&ミュージアムマップ 2015年12月-2016年1月号

私たちは、画廊や美術館を巡るひとが増えるにはどんな環境が必要か、考え続けています。
2008年創刊、毎月無料配布の情報冊子です。

新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2015-2016

12月20日(日)- 1月25日(月)

大竹 英志 展

 12月12日sat―20日sun

vol.481

 大竹英志の絵は、白い雲を描いたものでも、さざなみだつ水面を描いたものでも、見た瞬間にある重みを感じる。
 ずっしりというのではないけれど、紙や羽のようなふわっとした感じでもない。中身の半分入った灯油缶のような重みだ。
 さざ波の画面に顔を接近させると、波のすぐ下に別のものが見える。すぐ下、というのも正確でなく、それは画面上に平行ーあるいは同時存在しているような感じ。この同時存在の絵と、重みの関係について、考えてみるが、よく分からない。よく分からないが、その分からなさにうながされて、また見たくなる。
 見る…接近する…分からなくなる…また見たくなる…という環のなかで、まるで半分の灯油を注ぎ出すべきか、足すべきか分からないような戸惑いの重みが、手渡される。
 戸惑うこと、戸惑うことのなかにとどまること、戸惑うことから立ち去らないことを、勧められているように感じる。(企画 大倉 宏)

大竹英志(おおたけ えいじ)
1955年新津市(現新潟市秋葉区)生まれ。名古屋芸術大学美術学部卒業。新象展、現代日本美術展、日韓現代美術交流展、シェル石油現代美術大賞展等に参加。2015年3月フランスで個展開催。千葉県内で高校教師の職と同時に様々な美術活動を行う。

PHOTO: 「TOKI 2015-3」2015年 アクリル 和紙 鉄錆 緑青・キャンバス 45.0×90.0cm

橘 三紀 展

 12月2日wed―10日thu

vol.480

橘 三紀 新潟絵屋で峰村リツ子の絵を展示したとき、橘三紀が見に来て、とてもよろこんでいたのを思い出す。
 峰村は女の肖像、ヌードも多く描いた女の画家で、その女性像のおおらかさには男子ならざる視点があった。男子である橘が描く女には、アニマ(男の内なる女性像)の雰囲気がやっぱり漂っている。けれど、同じくらい豊かに、峰村の女性像に通じるおおらかさ、自由の空気がある。寄せる波と返す波のように、ふたつの女が重なって、乱暴のようで繊細な線、強烈なようで微妙なニュアンスを内包する色が、しぶきとなって跳ね上がる。あるいはたがいを飲み込んで、静まる。
 どこを見ているか分からない、ちょっとは虫類に似た目が魅力的だ。ちがう生きものだけれど同じヒトである—そんな、定まらない存在を見続ける一人の画家がいる。
(企画 大倉宏)

橘 三紀(たちばな みき)
1941年両津市生まれ。69年大橋広治先生の知遇を得、師事。72年光風会展に入選、76年光風会会員に挙げられる。99年光風会退会、現在に至る。個展、グループ展多数。

PHOTO: 「おんな」2015年 油彩・キャンバス F6