菅野 くに子 展

5月12日Thu―20日fri

vol. 493

 菅野くに子3年ぶりの新潟絵屋。
 昨年の東京での個展での出品作(近作)に新作を加えての内容になる。近作に色彩が強く深いものがあるのが目を引く。
 今回初めて制作の様子も実見させてもらったが、ゲル状の和紙に、色の粉を溶かし、そのゲル状のものを枠どられた中にすくっておいていく。七宝の技法に近い。濡れているときが一番美しく、乾くとがっかりしてしまうと菅野は言うのだが、その濡れ色の深みを、近作は見事に生み出している。新作では「はさ木」というモチーフが登場した。蒲原平野の空や大地の色は、はさ木という点景が加わることで深くなる。この色彩画家の現在が呼び寄せた、モチーフだと思う。
(企画 大倉 宏)

菅野 くに子 (かんの くにこ)
東京都生まれ。武蔵野美術大学油画科卒業後、リトグラフ、エッチングの制作を続ける。1998年より手漉き和紙による制作を始める。2001年ガレリアグラフィカ(東京)、05・07年ギャラリー舫(東京)、09年アートスペースエリコーナ(いわき)、11年新発田市市民ギャラリー(第1回アート・ナウしばた)、mu-an(長岡)、12年ギャラリーゴトウ(銀座)、15年ギャラリーアビアント、02・04・06・08・10・13年新潟絵屋で個展。

▶みるものとよいところ 会場のようす

■作家在廊予定日:5/12(木)〜15(日)、18(水)

PHOTO: 「聖」2015年 ミクストメディア・和紙 72.3×60.5cm

WAKKUN展 「王様の舟出」

5月2日mon―10日tue

作家在廊予定日:5/2・3・6・7(午後のみ)・8~10

vol. 492

 WAKKUNが涌嶋克己だと言うことは意外と知られていない。旗野秀人がホントはHAKKUNだなんて誰も知らない。このふたり1950年生まれだが一卵性ソーセージではない。WAKKUNのほうがチョッと兄ちゃん。かたや絵描き、かたや恥かき、いいえホントは大工さん。でも、本人もよくわかっていない。どうであれ、ふたりは気が合う。10年前のふたりの仕事、絵本『阿賀のお地蔵さん』はモンゴル語や中国語に訳され、今年は韓国語に挑戦と羽ばたく。が、しかし、先回の「還暦少年+1」展から五年経った今回は 「王様の舟出」展とのこと。さすが万年青年はステキだ! 昨年、神戸の展覧会場で貰った絵本『てがみ』には思わず涙。その原画展は絵屋終了後の翌日から、市内北区「てんゆう花」で開催。(企画 旗野 秀人)

WAKKUN(涌嶋克己)
1950年神戸市生まれ。86年TAO(神戸)、87年PICTURE(大阪)にて個展、以降毎年、神戸、大阪、京都、東京等で個展開催。95年阪神大震災で被災した障害者を援助するボランティアTシャツ・ガッツ君の絵を描く。主な著書に絵本『ほっ』(90年星雲社)、『いただきます!』(97年佼成出版社・共著)、『あっ』(2000年解放出版社)『阿賀のお地蔵さん』(06年考古堂書店)、『てがみ』(15年maillet books)、画集『友達がいてよかった』(98年遊タイム出版社)、イラストエッセイ集 『54才の絵日記』(05年友月書房)などがある。

▶みるものとよいところ 会場のようす

■ WAKKUN×旗野秀人トークイベント 5/6(金)19:00~20:00
 会場:新潟絵屋

■ ワークショップ 5/7[土]10:00~11:30
 会場:新潟市こども創造センター

■ 同時期開催 5/11[水]~17[火] 絵本てがみ原画展 WAKKUN
 会場:てんゆう花 (新潟市北区木崎2)

PHOTO: 「王様の舟出」2015年 墨・水彩/紙 15.0×10.2cm