ギャラリー&ミュージアムマップ 2017.1-2

私たちは、画廊や美術館を巡るひとが増えるにはどんな環境が必要か、考え続けています。
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新潟島とその周辺のギャラリー&ミュージアムマップ | gallery & Museum Schedule 2017.1-2

2017年1月20日(金)- 2月25日(土)

渡辺富栄 日本画展

1月22日sun―30日mon

vol.515 作家在廊予定日: 1/25・30(ともに午後)

 渡辺さんは市井の人々の生態を描き続けている。その眼差しは家族に、自身が暮らす地域の人々や働く人たち、そして教員時代の教え子たちに注がれてきた。彼らが生きる日常のステージが実に淡々と描かれ、衒いも外連もない仕切り派風の明快な 「生活画」に仕上げている。みんな自分の過ごす時代や生活を自然に受け入れて生きているのだろう。そろって健やかで穏やかな姿や表情が印象深い。こうした生活者に寄せる渡辺さんの共感の眼差しはいつも清々しく見るたびに心を温めてくれた。
 そんな渡辺さんがここ20年近く新潟市万代島の造船所で船を造る人々をテーマに発表を続けている。労働の現場の人の姿をどう絵にするか。今回の個展ではそのうちの何点かを紹介してもらうことにした。
(企画 小見秀男)

渡辺富栄 (わたなべ とみえい)
 
1948年新潟市生まれ。1972年新潟大学教育学部美術科卒業。日本画家片岡球子氏に師事。75年第60回院展に初入選。以後、出品を続ける。81年第36回春の院展に初入選。以後、出品を続ける。98年 「新潟の美術’98」(新潟県民会館)、2006年 「新潟の作家100人」(県立万代島美術館)出品。2010年個展 「渡辺富栄-日本画の世界」(弥彦の丘美術館)。現在、日本美術院院友、新潟県展委員、新潟県美術家連盟副理事長。

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO(上): 「船を造る人々-陸揚げ点検-」2016年 日本画/紙 106×106cm

渡辺富栄 船を造る人々–掃海船建造・新年仕事初め–

PHOTO: 「船を造る人々–掃海船建造・新年仕事初め–」(2011)

小林春規展 −京都散見−

1月8日sun―18日wed

vol.514 作家在廊予定日: 1/8・9・14・15・18

 新潟絵屋の月々の展覧会案内である絵屋便の、表紙の絵を、去年1年間小林春規にお願いした。山の端の日の出に始まり、雪の街角、カモメ舞う海、早苗、満天の星、平野の残照、枯れ蓮と続いた木版画の光景は、初冠雪の山で終わった。春規の父の小林正四氏に一度お目にかかったことがあるが、情愛あふれる雰囲気の方で、俳句をされたというが、その子である小林春規の絵も俳句のようだと、表紙絵を見て思った。
 たとえば6月号の雨中を行くふたりのシルエットは、新潟で出会う女たちの仕草や、独特の空気感をあざやかに浮かび上がらせる。心に瞬時に生起し忘却されていく感覚が、目の糸に釣り上げられ、舟底の魚のようにピチピチ跳ね上がる。
 この12点に、小林が若き日を過ごした京都をモチーフにした新作(一部旧作)を加えて、新潟絵屋の新春の壁を飾る。(企画 大倉 宏)

小林春規 (こばやし はるき)
1953年新潟県水原町生まれ。幼年時より木版画を始める。18才で初の個展後、京都の表具師の内弟子となり、表具の仕事を続けながら版画制作を続ける。90年新潟県笹神村(現阿賀野市)に転居。70年より日本アンデパンダン展、平和美術展に出品。個展多数。挿絵は、残熊てるよの詩集 『不安と未来と』、個人伝記 『暗闇の燈火』など。

▶みるものとよいところ 会場のようす

PHOTO(上):「雨」(2016)

小林春規 大楠・青楠院

「大楠・青蓮院」2016年 木版画/紙 20.5×13.5cm