新潟から作家を紹介してほしいという依頼を受けた。 さんざん迷ったあげく、やはりこの3人を、と思ったのは、3人がこの10年あまり、新潟絵屋と画廊Full Moonという新潟の画廊を主な発表の場としてきたという意味での、まぎれもない「新潟の作家」であることがひとつ。もうひとつは、作風はそれぞれながら、人の心を内側へ追い込む新潟の厳しい自然とも照応するような「内面性」の深度が、いずれも際立っていると感じてきたからである。さらには表現がこのように生まれ、このように育ち、時には栗田宏のように、ゆっくり枯れていきさえするのは、情報と刺激が行き交う、東京のような空間でではないだろう。その意味で、絵の前に立つ者に深い孤独を要請してくる3人の絵の前に、東京の人たちにぜひ立ってほしい、そのことが日本という空間のひとつではないこと、その重層性に、気づくきっかけにもなればという、小さい願いからでもあった。(大倉宏・新潟絵屋代表)
「密」2000年 油彩、キャンバス→
←「歩く木」2011年 アクリルガッシュ、ボール紙