n e w s p a p e r
2010年11月1日 新潟日報 掲載
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あーとぴっくす
実物を超えるリアリティー
小島我乱 日本画展「花と樹」
(2010年11月2日〜10日 新潟絵屋
村木薫
(彫刻家)
「縄文杉―古の静寂」2010年 日本画 160×160cm
日本画家小島我乱の個展が2年半ぶりに新潟絵屋で開かれる。テーマは、何年も追及している花と樹に絞った内容だ。彼は、中学生のころ、前田青邨の米寿記念展を見て、その会場で一生日本画を続けていこうと決めたそうである。後には、月丘栄貴(院展)に、説明的なものを一切取り除く厳しい指導を受け、気韻生動を想起させる線描が展開されている。
今回展示されるハスやボタンの花びらには透き通るような透明感と薄く何層にも塗り重ねられた胡粉(ごふん)の白との対比が、生きている花びら以上のリアリティーをもって迫ってくる。
15年前に初めてみた屋久島の縄文杉を昨年あらためて訪れ、その変貌ぶりに驚いたそうだが、今回の作品は、スケッチをもとに40年前の発見当時の姿をよみがえらせるべく、祈りにも似た「小島の縄文杉」が描かれている。
もう1点は裏五頭の原生林の斜面に生えている巨大な杉を、水墨と岩絵の融合したような新たな画面展開で仕上げてある。ともに長い年月に耐えてきた樹木の厳粛な立ち姿へのオマージュにも見える。
小島の日本画全体から伝わってくる「端正な画質」は、小学校から中学校にかけて書道と絵画の塾での徹底した基礎がもたらしたものである。新潟に縁有って住みついて12年になる。現在は「栄楽亭」という旬の食材を生かしたイタリア料理店を持ち、その味も素朴な中に積年の手わざを感じる。食事を兼ねて本人の描いた日本画を見せてもらうのも一興である。
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