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2006年11月22日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

“美”3分野、3会場 土の香り

スサンネ・イブラ展
(2006年11月22日〜11月30日 新潟絵屋)
(2006年11月22日〜11月30日 画廊Full Moon)
(2006年11月21日〜12月3日 ろば屋)


アンティエ・グメルス(画家)


 土の香りに満ちた展覧会である。作家スサンネ・イブラは1963年、旧西ドイツ生まれ。私の幼友達でもある。
 この新進気鋭の女流陶芸家は、国際的陶芸美術館として有名なイタリア・ファエンツァ市美術館や、ドイツ各地で、2メートルほどの大きな陶芸作品を発表してきた。今回、新潟市の3会場で個展を同時開催する。ギャラリーろば屋では陶芸オブジェ、画廊フルムーンでは版画と絵画、新潟絵屋ではミニアチュール(小絵画)と、それぞれ魅力的でヴァラエティーに富んだ作品が楽しめる。
 ろば屋では小ぶりなチューブ状の陶芸オブジェが、天井から吊ってあったり、台座にころがったりして画廊空間に遊ぶ。
 一方、フルムーンでは、動的で、エネルギッシュ、開放的な絵画が味わえる。ユニークなのは、彼女が生まれ故郷(レーゲンスブルグ)の土を絵の具代わりに使ったり、メディウム(媒材)として墨やアクリルに混ぜたりしていることだ。それをスピード感あふれるブラッシュストロークを使ったり、パレットナイフで塗りつけたりして、自由闊達に表現している。
 新潟絵屋では、筆のほかに木版や陶版を利用した重ね刷り、あるいはデカルコマニーといった独特の技法を駆使して、緻密な抽象世界をつくりあげている。