■ あーとぴっくす
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安心を誘う不思議な「変容」
アンティエ・グメルス展2007
(2007年6月16日〜27日 新潟絵屋)
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大倉宏(美術評論家)
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アンティエ・グメルスの新作展が開かれる。「TRANSPARENT SELF PORTRAITS(透明な自画像)と題された展覧会。
まず、目に突き刺さるような、きらびやかな輝きが飛び込んでくる。画材に光沢のある絵の具、ラメやスパンコールのようなものも使われている。直接鏡や鏡のような金属の表面に描かれた絵もある。
見つめていると、人の顔や体が見えてくる。そこにある、いる、けれど輝く粒子に充填され、通過される透明な人。人の目は、それら自体が無数のきらめきの中の星のようであり、またきらめきは人を見つめる無数の目のようだ。
人を構成する物質が光る砂塵に変じて、輝く風に溶け、人をとりまく周囲の、そして内面の空間に流れ出す。はてのない外が、内が、人に流れ込み、交錯し、スパークする。画面のいたるところで、小さな衝突が、新しい気泡となって発光する。
人の口や目から蔓が伸び、蔓は枝分かれして虹のように空間を横切り、からまり、花を咲かせ、胞子を飛ばし、宇宙を昼と夜に、日と月の世界に分かつ。
この不思議なメタモルフォーゼ(変容)には、グメルスの以前の絵の気配があり、見る者を少し安堵させる。けれども作品の変化は著しい。彼女のこれまでの絵になじんできた人は、同じ作家の絵とすぐには思えないだろう。
何が起こったかは分からない。けれど何かが、確実に起こった。
以前の繊細で知的なアイロニーに替わって、フォークアートのような素朴な強さが現れてきた。
20年前から新潟で制作を続ける、ドイツ人の画家。画廊「新潟絵屋」のリニューアルオープン記念展。
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