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2011年3月9日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

未知数の可能性を探る試み

エックス展U―若きクリエイターたちの自由表現
(2011年3月15日〜21日 新潟市美術館内・ギャラリー B室)


外山文彦(美術作家・コーディネーター)
大橋絵里奈「アリストクラシーの食事」 出展作家:
石橋歩、大橋絵里奈、海津千並、
坂井友美、佐藤啓子、塩谷彩夏、
高橋佐紀、トヨヲカ37、中田洋介、
長谷川恭子、hitarika、星野千尋、
道家洋二

企画:アトリエZen

 

 

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 20代の若いクリエイターたちの活動が活発である。かつては公募展や団体展への出品、ギャラリーでの個展が通り相場だったが、「場」は多様化し、雑貨店の一角やイベント会場でのライブペインティングなど、発表や活動の拠点は近年さまざまになっている。また、古町など街中に多くみられるようになった「若い、同世代の経営者による店舗」を核とし、そのコミュニティー内で活動するクリエイターも多くみられ、そうした活況と拡散は特徴的である。
 本展はそれら個々の活動を、作品選考はあえてせずに「自由表現」という緩やかな枠組みで捉え、集めた試みである。昨年のゲットムー・ギャラリーでの第1回展につづく連続開催で、呼びかけに応じた県内13人が出展する。
 13人は絵画、イラスト、写真など、思い思いの手法、視点で臨む。例えば「夢と現実を彷徨する少女たちへの憧れ」を原点にイラストを描く大橋絵里奈は、少女の無邪気さに潜む「不気味さ」をもどこか感じさせ、独特の雰囲気を漂わす、写真表現の中田洋介は、ここ数年ミニマムな表現を繰り返しており、そのなかで自身の皮膚感覚を生かそうとする。
 展名の「エックス」は未知数のエックスである。アンデパンダン型式の常として、個々の完成度などでばらつきも否めないかもしれないが、大切に思うのは、いま地元で動いている若いエネルギーの一断面から未知数の可能性が探れるかどうか、という点。彼らの表現に、そこから期待したいと思う。

エックス展2ー若きクリエイターたちの自由表現ー


同時開催
新潟市美術館内・ギャラリー A室
contemporary art「4人の風景」展 
(出展/佐藤昭久、皆川奈緒子、三上祥司、外山文彦)

contemporary art「4人の風景」展