■ あーとぴっくす
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詩や夢想の空気にふれる絵
片山健 展
(2011年6月12日〜20日 新潟絵屋)
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大倉宏(美術評論家)
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「新しい皿」2011年
水彩、紙 35.0×28.5cm
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十数年前、まだ幼かった子といろいろな絵本を読んでいた時、片山健のファンになった。『タンゲくん』や「コッコさん」シリーズなど、何度読んだかわからない。
片山の描く子供は大人が期待しがちな、いわゆるかわいい子供ではない。でも、まぎれもない子供の顔をしている。まだ出会ってまもない世界の、ささいなこと、少しのことに、思いがけないほど揺れる心。その動きが、あまり大きいと、表情は、体は、ついてゆけず逆に静まり、無表情のようになる。そのような顔の、姿の子供が片山の絵本にいた。その心の波動が色に、筆の走りに、油絵の具の盛り上がりになっていた。ページを開くとたちまち、忘れかけていた自分の子供の時が戻った。
その後出た『きつねにょうぼう』『みるなのへや』などもいい。子供の頃昔話を聞いて動いた気持ちの震えが、そのまま絵になっている感じがする。
新潟での3度目の個展。絵本を離れた片山の絵は、「お話」の流れからすーっと伸び出たアシの葉か、ぴょんと飛び上がった魚のように、絵本につながり、また切れている。絵本よりもっと詩、夢想という空気にふれている。
「新しい皿」=写真=という新作では、空からきた子供(絵本の子供の顔だ)が白い皿を置こうとしている。それとも花のようにあらわれた皿を、天に運ぼうとするのか?―考えているうちに、心が揺れてきた。
油絵3点、水彩画10点の新作が並ぶ。
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