News Paper
2011年11月8日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

従来の観念から陶器を解放

眞島美代子展
(2011年11月12日〜20日 新潟絵屋)


小見秀男(新潟絵屋運営委員)


 真島さんは長岡市内で開窯し、展覧会への出品を続けながら陶芸教室も主宰する作家である。
 そもそも、真島さんが物づくりの魅力に目覚めたのは、以前に勤めていた職場で目にしていた体験の影響が大きい。そこではアイデアが人の手を通して、どこにもない未知の形がつくられていく、その過程に魅せられたという。そのときの素材は金属だったというが、その後、自らの手で物づくりを志したとき、真島さんが選んだのは、形、それも立体をつくることができる土だった。
 作家なら当然の思いである。どうせやるなら人のやらないことをやりたいと望んで、土を相手の制作を始めて20年になる。彼女は日常、器形を焼くが、制作へのこだわりを一言でいえば、「使い勝手よりデザイン重視」ということ。
 自らの器形を「フリーカップ」と呼んで、飲食用にも、花入れにも、身の回りの装飾用にもと、所有する人の趣味、嗜好に合わせて、一つで多様な用途に応えられる作品づくりを目指している。だから、実に「多彩」で「多形」な器形が用意されることになる。
 「陶芸だよね、陶器だよね」と、ひとくくりにみなされてしまう従来の観念から器を解放する、それが真島さんの目標なのだ。
 真島さんはまた、土の立体造形作家でもある。日展、日本現代工芸展への出品を続け、今年、現代工芸賞を受けて日本現代工芸美術家協会の会員になった。会場にはバラエティーに富んだ器形の数々に加えて展覧会に出品した、パーツを構成的、建築的に組みあげた造形作品も展示される。