News Paper
2011年11月22日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

意識昇華する「ひとつの場」

「ONE Mart EXPRESS [ 〜10人の表現」&
「to ONE Mart EXPRESS 舟見倹二・版の軌跡展」
(2011年11月22日〜27日 新潟市美術館市民ギャラリー)


外山文彦(美術作家)
舟見倹二「No.10 Series of Space
     2000―2004」

 
 美術館内で隣り合うギャラリー2室を使っての同時開催。おのおの独立した展覧会であるが、「ONE Mart(ワンマート)」という共通項がある。
 ONE Martとは、ONE M(=1メートル)のart。1メートルという限られたスペースでおのおのがどう表現するか、という試みで2003年にスタートした展覧会である。ONE Mart EXPRESS展として、20代の若手作家も多く集まり多様なアートを繰り広げてきた。当初の「1メートル」は、より自由な表現へ「単位幅」にと抽象化され、ONE Martは別訳でもある「ひとつの場」へとリンクした。今回の第8回展もその流れにあり、ミクストメディア、立体、インタラクティブなアート等、県内外10人がさまざまな表現を繰り広げる。
 昨年の同展には美術家・舟見倹二(1925年生まれ)がゲスト出展したが、舟見はそこでの刺激から、本展の原点に立脚する新シリーズの制作を始めた。1メートルの正方形パネルをあえて用い、過去から現在まで30余年にわたる版画作品を、コラージュの手法を使い再構成。それがA室展示の全12点のシリーズ作品である。自身の版表現の軌跡をいまの視点でたしかめるという意欲的な思考にほかならない。
 B室の10人の展示はより自由な表現を目指し、舟見のアプローチは対をなす。2展は様相ももちろん大きく異なるが、作家の志向する意識がONE Martのなかでクロスし、「ひとつの場」へと昇華している。

「ONE Mart EXPRESS [ 〜10人の表現」出展作家
笠原賢悟、佐藤郷子、児玉瑞子、高橋トオル、滝沢陽光
外山文彦、中田歩、中田洋介、抜山理枝、不破妙子