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■ あーとぴっくす
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小林春規版画展
(2013年10月18日〜27日 画廊Full Moon) |
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「かんのん ―夢想」14.0×20.5cm 2013年 |
小林春規の新作を見て、わっと声が出た。
裸婦だ。その裸婦が観音さまである。
田園風景、草花、虫などが個展の主モチーフの版画家に何が起きたのだろう?と、見る側が思うほど実は大げさなことではないと言いたげに、女たちはごく平常に寝転がったり、子を抱いたりしている。
萬鉄五郎の版画にこんなポーズの裸婦があった。棟方志功が、岡本かの子の「女人ぼさつ」に霊感を得て作った女人観世音版画巻も思い出す。
色の豊かな棟方の版画より、ストイックでごつごつ感のある萬の画に近い雰囲気だが、やはり、みていると、ほかの誰でもない小林春規の絵と感じるのは、観音(裸婦)の体がどこか野菜を思わせるせいかもしれない。
寝そべる女のお尻に茄子を、キュウリを、感じる。肉の弾力ではなく、菜の歯ごたえ。田園からやってきたモノたちが、版画家の机にごろんとはだかで横になり、腰をひねり、寝返りをうち、むっくり起きて子を抱く。
そんな机上の夢想が、妄想が、鑿づたいに紙にわいわいとこぼれ出た。 |
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「慈母観音」14.0×20.5cm 2013年 |
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