News Paper
2013年12月12日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

サンタ展 長尾玲子
(2013年12月12日〜20日、新潟絵屋)

「いまいくよ」2013年 6.0×24.0cm 刺繍/布

 
ちょうどよくあたたかい絵 黒住恵子(絵本編集者)

 絵の具と絵筆のかわりに糸と針を駆使して作品を描く作家、長尾玲子さん。彼女の絵は、人をあたたかくさせてくれます。そしてそれが、「ちょうどいいあたたかさ」なのです。例えば幼いころ、お母さんがふうふうと吹いて、「ちょうどいいあたたかさ」にしてくれたおかゆのあたたかさ、口当たり。そのあたたかさです。
 作家の持つ人やものに対する熱い思いと、クールな観察の目。その熱と冷気が作品に「ちょうどいいあたたかさ」をもたらしているのでは、と思わされます。
 そして、また、ふしぎなことに、彼女の絵を見ると、その喜びを、誰かと共有したくなるのです。一緒に見たかった人を思います。「あなたがここにいればいいのに…」
 彼女のクリスマスの絵の前で、あなたは誰を思うでしょう? 絵の前で、確かめてください。