n e w s p a p e r
2005年12月8日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

連句読むような味わい深さ

“The Wind-4” exhibition
(2005年12月9日〜14日 長岡市・ギャラリー沙蔵)


長谷川智弥子(俳人)

 時々、私を驚かす句友に佐藤和行氏がいる。沖縄から手紙が届いたり、青森からねぶた祭りの絵はがきが舞い込んだりする。
 今は、仕事に縛られている私には羨ましいかぎりだが、とうとう南米にまで旅してきたらしい。それもKOHARUさん、立見迪子さん、そして豊口協先生などの素晴らしいアーティストたちと。
 真夏のある夕べ、ピアノ演奏と生ビールにつられて参加した食事会で、南米旅行中の写真をたくさん見せていただいた。アンデス山脈の上空を越えながら、この方たちは何を想い、どんな刺激を受けたのだろう。
 「描くことは想起することだ。」ギリシャ人にならって私はそう思っている。
 目と、感性と、構成力と、そして南米の風との知的なゲームは旅の途中から始まっていたと思われる。
 約束どおりの「四人展」、目と心を研ぎ澄まし、ギャラリー沙蔵での空間の詩を楽しみたい。豊口協先生には旅行中のすてきな俳句を見せていただいた。俳句にも連句というジャンルがある。
 私の思う連句のよさは、複数の多様な作者が、その場で前句から受けるなにかに、次のなにかをもって新しい世界にしてゆくところ。そして、それぞれの、個性が醸し出すシンフォニー。
 この度の画風の違うアーティストによる「四人展」、連句を読むような楽しみ方もあるのではないか。
 〈冬の雷絵から遠くに連れ出さる 智弥子〉