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2009年3月19日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

「ロフト」で多様な現代美術

クロスオーバー・ノーボーダーGT-ART展
(2009年3月20日〜29日
     ゲット・ムー・ギャラリー【新潟市江南区(亀田駅前)】)


小川弘幸(文化現場代表)
出展:
荒川洋子
児玉瑞子
ごんだいらあやこ
笹川阿沙子
佐藤郷子
関典子
高橋トオル
茅原登喜子
外山文彦
藤井芳則

 
 昨年師走、JR亀田駅前にユニークなギャラリーがオープンした。ロフトを思わせる10メートル四方に広がる壁面と高い天井はどんな大作にも対応できそうな空間で魅力的。またレセプション時にはバーカウンターとなるコーナーもあり、都会的なクリエーティブ・スポットとしても注目を集めそう。さらにユニークなのは、常時ギャラリーとして展開するのではなく、時期によっては劇団「KURITAカンパニー」(栗田芳宏主宰)の劇場兼けいこ場だったりすることなど。
 オーナーの藤井芳則さん自身がアーティストであり、「 GT-ART展」にも出品作家として参加している。私が会期前に訪ねた時、藤井さんは大きな脚立にまたがって一人制作に没頭していた。会場で空間を読みながら設置していく立体やインスタレーションなどの場合、作家が納得いくまで展示に時間をかけることができるかどうかは、創作要件として重要なこと。藤井さんは自ら所有する空間を持つことにより、アーティストとして作品制作にかける自由度も同時に手に入れたのだなと思った。
 同展は素材や表現技法も異なる作家10人による現代美術展。作家の年齢層や活動歴もさまざまなことから、多様性そのものを楽しんでもらうことをねらいとしている。写真は、ごんだいらあやこさんのワイヤアート(部分)。企画者の外山文彦さんも作家として出品している。