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2003年10月1日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

個性が融合 新鮮さくっきり

シックス展
(〜2003年10月5日 長岡市小沢町・リヴィエールヴィヴァン2階ギャラリー)


外山文彦(アートコーディネーター)


 「時代とともにありながら長いスパンをとりうるアート」と副題がつく。会場となるギャラリーは屋上への螺旋階段が鉄骨素材そのまま中央に鎮座するなど、決してニュートラルな空間ではなく個性の強いもの。そこに6人の県内作家が約30点の小品を持ち込んだ。
 表現行為は、時の流れとともに泡沫のように消えるものだが、時代とともに人々の記憶の中に残そうとの思いが作り手にはある。本展は息の長いアートを志向したうえで、近作からの自選作品を中心に構成したという。
 会場空間を含めたそれぞれの個性を融合させることにより、展としての新鮮さが逆に浮びあがってきたようだ。例えば床面に布と木の立体作品を置く関根哲男と、壁面に変形の油彩絵画を点在させる佐藤昭久の作品は互いに呼応しあい、特徴あるギャラリー空間をも、その関係の中に引き込む。
 鉄彫刻の霜鳥健二、絵画の可能性を探る中嶋均、参加型アートの佐藤秀治、シルエットによるレリーフ作品の真島若桜、それぞれの小粋な魅力とともに、グループ展としての心地よさも現れる。
 作家の言葉を借りれば、長いスパンをとりうるアートとは「これは私自身である」と認知しえる表現でもある。これはアーティストにとって重要な命題であり、次なる個々の表現の展開も楽しみである。