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2003年11月5日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

若い才能満ちあふれている
「ONE-Mart EXPRESS 12人のそれぞれのアート★表現」
(2003年10月31日〜11月9日[金・土・日・祝日のみの開催] 見附市・今井美術館)

佐藤秀治(美術家)

飯塚富久
井口のり子
小川真琴
笠原もなか
小林真理
佐藤一樹
佐藤郷子
田中秀美
トミナガアヤコ
松本泰典
箕輪朋和
モノツクリ金造φ

 現代人が集団を必要としているかは別にして最近グループ展が多い。表現はあくまでも個を主体としているが、個人ではできない表現や物量的に集団に委ねることもある。画廊でグループ展を行うときは、往々にして作業力や会場費の分割に重きがあり、肝心な部分がすり抜けることが多い。反面、鑑賞者に対して具沢山のご馳走を提供する利点もある。しかし本来の目的は、主張する課題や主義に基づきテーマを掲げ、その思想背景や追求の方向性に焦点をあててみせる運動を構築させることにある。
 今回選出された12人は、中越地区期待の若手作家である。会場に入るとそれぞれの作品がしっかりと呼吸している。ジェラシーを感じるほどピュアな、あっけらかんとした表現で、若い才能に満ちあふれている。展の名称でも分かるように、「1人1メートルの壁面」という条件を克服し、結果を出すこと。いわゆる課題解決学習である。どのような素材を選択、指示空間をどう構成できるか。実践ゼミにも似て、真剣勝負の張り詰めた空気があるが、概して皆明るく、作家たちの受け止めは自由奔放で好感が持てる。何かがここから始まるという予感がする。
 展の仕掛けとしては、個が全体とどうせめぎ合うかであり、特に異質なものが混じり合うことはない。むしろ力量のなさを露呈する仕組みでもある。条件上では均等であり、レベルの差が勝負どころとなる。