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2004年1月7日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

多彩な生活、素朴な味わい

笠原もなか「おやつ」展
(2004年1月6日〜11日 長岡市・ギャラリーdot ONE)


外山文彦(美術コーディネーター)


 昨年から「おやつ」と題した個展を連続させているイラストレーター。早くもシリーズ3回目となる本展は百余点もの作品を一堂に並べた力の入ったものとなる。
 襖絵調で和風のものから、ガラス絵技法でのポップ調、寄せ木細工のような板絵作品など素材も含めバラエティーに富むが、その中に流れる作家固有のカラーはさほど強烈なわけではない。そのため、一見しただけだと何人かのグループ展を想起させもするが、その多様性が逆に特徴を形作っているともいえ、展名から意図されるものにも通じるようだ。
 主にアクリル絵の具で描かれ、シルクスクリーンでの版画技法も時折効果的に用いられル。大胆に見えながら繊細なタッチを重ね、人間、社会、生活などの多彩さをも表現しているよう。ある時はノスタルジックな一面も見せ、幼少時の心ときめく一瞬を思い起こさせるなど素朴な味わいもある。
 個展をシリーズ化する一方、月刊誌の表紙や地元音楽祭のトロフィーのデザイン、現代美術系の野外アート展への出展など、その活動の視点は軽やかに多方面に向けられる。いわば、おやつ的でもある。気取らずにつまんで自作を楽しんでほしいと語り、あえて「おやつ」であり続けたいとする笠原の今後の展開も楽しみだ。
 1978年生まれ、長岡市在住。