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2004年4月6日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

温かいまなざし 大人の笑い
古山浩一 カリカチュア(風刺画)の世界
(2004年4月2日〜10日 新潟絵屋)

中山佳奈恵(新潟絵屋企画委員)

 画家古山浩一の新潟初の個展である。20年前には肖像画や静物画の油絵を描いていたのだが、私の知るところでは古楽ユニット「音楽三昧」のチラシに作曲家のカリカチュアを多く寄せているし、10年ほど前からは月刊絵本「こどものとも」や「たくさんのふしぎ」において絵本作家としても活躍している。最新作としてはC.W.ニコル氏の文章に絵をつけた「クリスマスベア」が昨秋出版されている。万年筆にも造詣が深く、雑誌「メモ男の部屋」に隔月刊で「万年筆画家が行く」を連載してその文章の才能も披露している。「町工場二階空目薬煙突工房」のホームページを覗くとその活動の多彩さがうかがえる。
 今回の個展は「カリカチュア(風刺画)の世界」と題して人物カリカチュアを中心に40ほどの作品からなる。彼の描く人物カリカチュアは、作曲家・画家から市井の人まで多岐にわたる。作曲家や画家たちはなにやらぶつくさつぶやいているのだけれども、風貌だけでなくそのつぶやきもその人物らしさが表れている。大笑いするのではない「くすっ」としたり「にやっ」としたりする大人の笑いがある。かといって、その笑いはブラックな性質のものではなく、あくまでも人物に向けられたまなざしは温かい。他には、水彩の風景画や多重人格者ものなど。絵本や自費出版物の展示もあるのでいろいろな角度から楽しめそうである。