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2004年4月13日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

手法の違いでイメージ一変

星野健司彫刻展
(2004年4月6日〜18日 長岡市・ギャラリーdot ONE)


外山文彦(美術コーディネーター)
「都市の人間のアナロジー・パイロン」 
コールテン鋼 
39×38.5×46 2003年


 一辺が18センチほどの正方形の鉄板の上にオブジェを7〜8体並べ、小さなサイズで完結させた金属彫刻を、シリーズとして呈示している。
 要素として使われる小さなオブジェは、機械的、記号的なものとともに、なめらかな曲線のフォルムや有機的なかたちなども加わり、それらは作品の「部品」のように組み合わされる。配置や構成は変化させつつも同じイメージが反復されるが、一方、その素材についてはいくつか異なったものが用いられる。
 ステンレスにショットブラスト処理をした素材での作品ではスチールの素材感が消えて軽妙感が浮かびあがり、彫刻作品でありながら絵画的な感触も漂わせる。鉄錆による作品は重厚なものに、また、ブロンズを特殊処理して廃墟のようなイメージを醸し出したものなど、手法の違いが作品の見え方を一変させる。
 これらの一連の作品には星野の大型彫刻にもよく付けられる「都市と人間のアナロジー」「不可思議の森」とのシリーズ名がつくが、マケットやマルチプルを志向したものではなく、むしろ作家の思考のバリエーションが微妙に表出してくることにより、作家の創造の源泉を垣間見るかのような楽しさがあらわれる。
 20点の個々の作品は、いずれも小粋な魅力に溢れているが、それだけでとどまらない、展としての面白さが感じられた。