■ あーとぴっくす
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存在感をもって迫る動物たち
さいとうようこ展
(2004年7月29日〜8月3日 羊画廊)
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正道かほる(児童文学作家)
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「マントヒヒ」流木のオブジェ
39×27×25cm 2004年 |
今年の夏もまた、流木から生まれたすてきな動物たちが羊画廊に集まってきた。長いしっぽと赤い顔が印象的なマントヒヒ=写真=。肩の線が力強いライオン。うずくまっているネコは、針金の耳で海風の音を聞いているのだろうか。ねじくれた枝はそのままレリーフの水牛の角になり、木目やささくれは動物たちの肌合いになっている。
流木を見るときわたしは、山あいから海まで川を下ってきた長い時を想う。日本海を漂ってきた距離を想う。時と距離をこえて新潟の海岸にたどり着いた流木たちが、選ばれ、ひろい集められる。「骨みたいに白く晒されすぎたのは好きではないの」とさいとうは話す。野性味の残る流木を組み合わせ、削り、時には粘土も使いながら、うすく彩色をほどこしている。
さいとうの美意識をくぐって造形された動物たちは存在感をもって迫る。昨年よりさらに力強く、さいとうの創作の意志が感じられた。しかし肌合いはあたたかく、動物達の目はあくまで優しい。じっと観ていると、表情ゆたかな動物ひとりひとりが語りかけてくる。つい「うちに来ない?」と言いたくなる。
この夏休み、大人にはもちろん、子どもたちにも、ぜひ観て楽しんでほしい個展である。
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