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2005年3月25日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

4人の異なる素材と技法

4forme展
(2005年3月24〜29日 画廊 Full Moon)


外山文彦(アートコーディネーター)


 開学10周年を越えて、長岡造形大学の卒業生の活動が目立ってきている。本展も同大学で工芸デザインを学んだ4人によるもの。築100年もの町家を使ったギャラリーを会場に「異なった素材と技法によって制作している4人のそれぞれの形、または空間全体の変容を体感してほしい」と意欲的である。
 画廊中央、板の間にほぼ一列に6体の金属彫刻(大桃洋三、西片亮太、渡辺和也)が並び、反対側の障子戸の内側にわずかな空間をとって、捺染技法による細長い布作品(月永理見)が吊り下げられる。金属作品をのせている背の高い台座も渡辺によるもので、これも金属製。古い日本家屋のなかに金属という組み合わせが新鮮に見えた。
 個の作品をつぶさに見ると、それぞれの興味の方向の違いが見えてきて興味深い。例えば銅を素材にする渡辺和也は、素材のもつ色の美しさを引き出した平面の小品3点を点在させ、鍛金作品では軽やかなイメージを膨らませる。一方、鋳金大桃洋三は人間のような有機的フォルムから発想、微妙なバランスのなかでの塊感のある作品。西片亮太は、板材の表と裏、その二面性に着眼して新たな表情を探った鍛金作品。唯一染色専攻の月永理見は色同士の重なりと交差で、色が自由に動く瞬間を狙ったという。
 展覧会として、場がおのずともつ雰囲気をうまく取り込みながら一点ずつの作品を丁寧に見せていた点、好感がもてた。4人はいずれも20代半ばの若い世代の作家であり、県内で制作活動を継続している。今後も注目したい。