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2005年5月13日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

芸術とファッションの融合

2005アーリーサマー・ジュエリーコレクション展
(2005年5月16日〜28日 工芸サロン金と銀)


田代早苗(俳人)

 「芸術はわからない」と言う人がいる。でもそんな事を言う人だって身だしなみはきちんとしていてファッションにも気を使っていたりする。自分の身を飾ることと芸術、つまり美しいものを愛でる心―言葉にするとかなり気恥ずかしいものになるけれど―は普通に考えられている以上に近いように思える。
 観念というアタマの世界の美が芸術であるなら、自らの身体性に美を纏わせるファッションはそれほど遠いものではないか。両者をあまりにも遠ざけて考えるのは芸術にもファッションにも不幸なことなのではないだろうか。
 とはいえ、どんなに素晴らしい彫刻も絵画も身につけて外出することはできない。その点、洋服や着物、装身具は「身にまとえる」というとても贅沢な機能を持っている。
 今回、工芸サロン金と銀のコレクション展=写真=は社団法人日本ジュエリーデザイナー協会の主催で新潟では初めてみられる作家たちによる逸品ばかりとのこと。
 高価で良質な素材が確かな工芸技術により加工された素晴らしいものばかり。気後れしつつも一つ指に嵌めてみる。ジュエリーは身につけられて初めて生命を得るものだと実感。
 芸術とファッションが高価な貴金属を媒介として一つに融合している。何と贅沢なことだろう。