■ あーとぴっくす
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「原生」シリーズ見応え十分
関根哲男展
(2005年5月17日〜29日 柏崎市・ギャラリー十三代目長兵衛)
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外山文彦(アートコーディネーター)
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綿布・バーナー 163×130cm |
精力的な制作活動を続けている美術家・関根哲男(柏崎市在住)の個展。十数年来、作家が追究している「原生」と題したシリーズを中心に見応えのあるものとなっている。
関根は「何かを作ることではなく、意味や内容のない無用な営みの集積を見ることに関心がある」と述べ、画面に布片を幾重にも張り重ね、バーナーで焼き、詰め込むことを続ける。毎日ただ同じ行為を執拗に繰り返すことで、その行為の集積は次第にふくれあがっていき、その痕跡が作品へと繋がる。
布の切れ端を結ぶ、折る、ほどくなど、手法の変化をみせながらシンプルな美しさを形成し、シリーズとして10点の平面作品が並ぶ。蓄積された行為の密度の高さが作家の現在そのものであり、充実している仕事ぶりが存分に伝わってくる。
同シリーズは大作中心で一階に展示されているが、中二階には趣向を変えた小品30余点が置かれる。ブナ林や花など具象物をモチーフにした絵画は焦がした布でトリミングされ、また、これまで単発的に関根作品に登場していた「木材と赤褌」がミクストメディアとして再構成されるなど、単なる小品ではなく興味深い視点がある。赤褌はその発想のユニークさだけではなく、インスタレーション作品への新たな切り口がエスキースとして示唆されている。作家の思考のバリエーションが表出したものとして興味深い。
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