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2005年7月18日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

名画解体と再構成を機軸に

佐藤秀治展〜遺伝子組み換えアート
(2005年7月12日〜24日 ギャラリーdotONE)


外山文彦(アートコーディネーター)

 栃尾市在住の美術家の22回目の個展。「遺伝子組み換えアート」と題された案内には何やら難解なイメージが漂うが、会場に訪れると一転、そうした難しさとは少し違う雰囲気でゴッホやモネ、ピカソ、ゴーギャンなどの名画の断片が目にとびこんでくる。本展では物質としての作品ではなく、遺伝子組み換えアートという考え方をみせることに主眼が置かれ、平面・立体および文章による12の行為が提示されている。
 正面の壁には名画の複製をコラージュした21点の作品が並ぶ=写真=。名画を解体し、任意の形に分割して違う形に再構成した作品は新しいイメージが表出され、印象的な壁面を構成している。床に置かれた5つの立体は、柱木の断面を4つに分割して180度回転させ、内と外を組み替えて意味の変換を図り、また、一本の丸太を回転させながら撮った写真を平面上で再構築するといったように、組み換えと再構成を機軸とした作品群であり、そこには現代アートの小気味よい楽しさも現れている。
 現代は新しい表現を追い求める中で「アートは何でもあり」の様相を呈しているが、その中で果たして正統があるのか否か、問うたところから本展は構想されたという。個々の内側に亜流を否定する「正統」を構築したいとする佐藤は、幼児期の無意識の遊びを想起できる表現の構造や、過去の作品の引用など、時代が繰り返すなかから再考しているのである。