n e w s p a p e r
2005年9月8日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

緊張奏でる近隣県同士の交流

「ONE-Mart EXPRESS 2005」
(2005年9月2日〜19日 金・土・日・祝のみ開館 今井美術館 企画展示室)


佐藤秀治(美術家)

 本展は2回目のステージである。名称が示すとおり「1人1メートルの壁面」というシンプルな割り振り条件のみである。呼び掛けに11人のアーティストが名乗りを上げた。
 展が課せた指定空間をそれぞれどのように受け止めて構成できたか、という論点で来場者に比較鑑賞を委ねた画廊企画展である。今回の参加者は生活圏が広域に及ぶこと、それぞれの表現に異なりがあること、発表歴も多様であることがうかがえる。互いの接点も薄く、実現難しい近隣県同士の交流も、バラエティーに富んだ形態を一堂に並べることも、当画廊の企画準備の努力にある。
 最終日には自作トークと相互に感想を交換する交流の場もあり、一歩踏み込んだ表現の理解と深化に大いに期待される。
 円型パネル数枚にシンボリックなイラストを配した笠原もなか(長岡市)、15片の段ボール紙に描いたイラストを壁面に再構成した菊池さやか(長野県)、紙を張り子加工し黒を基調に青と黄を彩色した立体怪獣のサトウケイコ(新潟市)、下田俊範(柏崎市)は今回ペイントで参加、7枚の大小のカンバス構成で都会の湿度感と反射光で漂う哀愁を描き続けている瀧谷美香(新潟市)、不可視的な気流をモチーフに鍛金による造形立体の西片亮太(弥彦村)、コミカルな線と色のイラストを4枚の組み絵にした皆川奈緒子(新潟市)、鍛金による大きなマスクを壁面に飾った蓑輪朋和(新潟市)―などの作品群である。
 真摯な態度が会場に緊張感を奏でている。