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2005年10月8日 新潟日報 掲載

あーとぴっくす
 

濃密で幸福な出会い空間築く

若弥とYUKO 二人の世界 花と遊ぶ陶人形たち
(2005年10月8日〜19日 新発田市・ギャラリー彩)


上田浩子(デザイナー)

 若弥さんの手から生まれる人形たちは、みんなまあるい=写真=。子どもも動物も植物も、なんだか得体のしれない生き物やちょっとエロティックな女たちも、みんなまあるく、そしてすくっとひとり、立っている。
 愛らしさはもちろんだけど、それだけではない強さ、たくましさを感じるのは、その揺るがない立ち姿によるものではないかしら、と思う。やわらかな輪郭のずっと奥に、まっすぐ通った軸のようなもの。まあるいかたちは、人形たちがこの軸を抱えて立つために必要なものなのかもしれない。
 YUKO(高橋裕子)さんがこの人形たちのために作りだしたのは、土の匂いのする草花の、風がすーっと通り抜けるような野原。今回、人形たちには最初から花を挿すための仕掛けがあちこちに作られているのだが、YUKOさんは花で飾るというより、場を作ることでこれに応えている。
 草花の命はたった数日。そのはかない場所で、人形と草花は濃密で幸福なコミュニケーションを交わし、自分たちの世界を築いていく。私たちが日常の中で、ほんの時折出会う巡り合わせの奇跡のように。
 この展覧会は、ライブセッションのようにリアルタイムで変化していくだろう。ライブはナマが一番。ぜひ多くの方に足を運んでほしい。