「日」華雪書展

2010年11月3日〜7日
会場:F/style
(エフスタイル)
   新潟市中央区関屋下川原町2-658


華雪さんと出会い、日々の暮らしと書のことを考えました。心をそらさずその日その日と向き合い、体ごと受け止めて放たれる文字は、不思議と息づいています。華雪さんに会うたびに、そして彼女の書を眺める度に、自身の重ねた日々のことを思い、いろんな感情があったことに気付かされます。華雪さんの重ねた日々と書を、F/styleの仕事場の各部屋に設え、日常の中にある書の風沓を、ご覧頂けたらと思います。
          F/style
(エフスタイル)
「日」華雪書展 F/style

F/style(エフスタイル)

「日」 今日一日どんな日だったんだろうと、その日のかたちを想像するのがいい気がする。
いろいろまだ鮮やかに頭に残っていることが、字のかたちに飲み込まれてゆく。
そのことが、いいと思えた。夏から、なるべく毎日、わたしの一日の「終わり」
(それは夜だったり明け方だったりする)に「日」と書くことにした。
書いた「日」は、そして黒い鉄の箱に入れる。

鉛筆で「日」と書く。書く時、自分の中で、ぎゅっと小さく集まるものを感じる。
今朝書いた「日」。裏にもうひとつあり、それがほんとうに最初に書いた「日」。
それを残そうやっぱり、と思う。

今日は、輪郭の滲んだやわらかな日を書きたかった。4つ書いて、3つ目を残す。

こうして日常の中で、ほんとうに日常の中で書くというのは、
手に、また違ったかたちを書かせる。

「日」2010

  ■一階
「鳥」2010 布…丸山正 書…華雪
「いとしい」1 2010
「日」2010
「女」1、「女」2、「女」3 2010
「雪」1、「雪」2、「雪」3 2010
「あい うえ お」2010
「花放」花咲く 2010
「トランプ・幸」2010
   3つの時に関する幸いについて
「玲」2010
「一」「七」「十」2004
「わたし」2010
「砂上」2009
「森と舟」2010
「ここ」2010
  ■二階
「舟」1 2010
「いとしい」2 2010
「雪」2 2010
「舟」2 2010
「眠」2010
「わたしふね」2010
「花」2010
「あかるみ」と斎藤茂吉の短歌 2009
「森」2010
「動物」1 2010
「動物」2 2010
 

 
どうしてそう書きたかったのか。書いてしまってから気付くことがある。
ただ書きたかった。その気持ちと地続きで、すっと書いたものが、
部屋の隅にある。

何かを書いていて、唐突に身体をよぎることばがある。
そういうことばを、まだ墨の残る筆で、あるいは鉛筆で、
落ちている紙や、かたちが好きで本棚に並べておいた木っ端に書いておく。
そしてそれは、そのまま、わたしの日常の景色に埋もれていく。
積もったほこりを払おうと、ふと手に取った時に、
そこに漂う、それを書いた時の気持ちの根っこに気付く。

「いとしい」と書いていても、いとしいだけではない、
言いようのない気持ちが、けれどひとつだけはっきりとそこに残っている。




華雪(かせつ)/書家。1975年京都生まれ。1992年より個展を中心に活動を続ける。刊行物に「書の棲処」(2006/赤々舎)などがある。近年の個展には「跡」(2009/gallery360°/東京)「劇」(2010/二宮家米蔵/新潟)などがある。現在東京在住。