2003年12月


2003年11月の絵屋

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2003年12月2日〜12月10日
 

長谷川久彦(はせがわ ひさひこ)
■1946年新潟市生まれ。新潟県立工業高校卒業後、建設会社(設計部)に勤務。70年独立し自営業(建築完成予想図作成)となる。94年頃から水彩画で風景を描き始める。2003年村上、新潟で個展。現在新潟市美術協会会員。

←「第四銀行住吉町支店」 2000年
水彩、紙  31.9×41cm

それぞれの町に、町を描く画家(絵師)がいる。
7・8年前、旧県庁、電鉄白山前駅、公会堂と古い建物が次々壊されたのにびっくりし、第四銀行住吉町支店の現地保存の運動を始めた頃、ふと新潟の絵師たちは、古い建物の崩壊現象をどう感じているのだろうと思った。旧県庁を描いた人が、すぐ同じように、跡地に建ったぴかぴかの市役所をきれいに描く。いいといえば、いいのだが・・・・・・。
建築の完成予想図(パース)を描くのが仕事の長谷川さんが、住まいに近い西大畑界隈を描き出したのが、8・9年前だという。街角に立って3時間ほどで一枚の水彩を描く。場所は次第に広がり、スケッチが日課になった。彼の好んで描くのが、古い建物。証券会社のビルも、路地の長屋も、全く同等に描く。新潟下町は古い建物の宝庫だから、大切なモチーフの採取場になった。
時々絵屋に絵を持って来てくれるのだが、下町の古い建物は大抵見たつもりでいた私も知らないものが時々ある。下町以外にも古い建物のあるところはどこでも描きに行くようで、その探索力は驚異的だ(佐藤清三郎の場所不明のスケッチの現場が、旭町だと教えてくれたのも長谷川さんだった)。モチーフは他にも寺や神社、水辺の風景へと広がり、バイクに乗って、村上や三条あたりへも建物や町並みを描きに行くらしい。
絵にした建物は、しばしば壊される。すると壊された直後の風景をまた描く。こうして数百枚にもなろうとする長谷川さんのスケッチは、世紀の変わり目の、新潟の古い建物(歴史的建造物)をめぐる状況の、正確で、臨場感あふれる記録にもなりはじめている。
絵屋前の道に続く「広小路」は、道路拡張計画のため、この数年で何十もの古い建物が壊された。長谷川さんが記録した古い家並み、変貌していく途中の風景、そしてフェンスに囲われた空き地が目路の続く限り広がる今の広小路を見くらべて、下町のひとつの現在を、見てもらいたいと思う。 (大倉 宏)


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2003年12月12日〜12月20日
 
丸山恵美 「早天」 彫刻 佐竹真弓 武藤祐子 「おさんぽいこう」 木版画 さとうしゅうこ 「かじかぢクン」 木版画
ズッキーニ
■佐藤周子(さとう しゅうこ)1974年生まれ、新発田市在住。
■佐竹真弓(さたけ まゆみ)1971年生まれ、新潟市在住。
■丸山恵美(まるやま えみ)1974年生まれ、新潟市在住。
■武藤祐子(むとう ゆうこ)1973年生まれ、豊栄市在住。
「ズッキーニ」なんとなく心地よい響きをもつこの言葉は野菜の呼び名らしい。それぞれ表現方法の違う若い作家が集まって自分の好きな言葉の中からアミダクジで決めたと聞く。これまで豊栄市、京ヶ瀬村、新発田市と開催し、今回の絵屋で四回目とのこと。二年前に絵屋で唯一、開催経験のある木版画の佐藤周子さんの最近のテーマは「リラックス」で、今は版画にこだわらないさまざまな表現方法に取り組んでいる。海外での活動経験もある佐竹真弓さんは英会話を教えながら「自分の中の他人」をテーマに写真を撮り続けている人。高校の教壇に立つ彫刻の丸山恵美さんは今回、アクリル画が中心になりそうだ。ところで、絵屋の欄間の骨が一本抜け落ちていて、そこにハガキほどの小さな彫りものがはめ込まれていることにお気づきだろうか。独学で木版画を彫り続けている武藤祐子さんの手によるものである。素材も作風もそれぞれ違う「ズッキーニな四人組」による今年最後の絵屋展を楽しんでいただきたい。(旗野秀人)
 

E y a i n f o r m a t i o n
2004年下半期「準企画」への応募について
 新潟絵屋では、個展経験の少ない作家の発表を支援するために、また絵屋の空間のより多様な活用を求めて、準企画という形式の展覧会を設けることになりました。半年毎に、応募のあった企画案の中から企画会議で選ばせていただいた展覧会を、経費の一部を発表者(作家)負担で開催するものです。下記の要領で2004年後半(6月〜12月)に行う準企画(案)を募集します。
■応募資格 特に制限はなし。基本的には個展経験の少ない美術作家、
      あるいは販売を伴わない展覧会(インスタレーション)などを希望する方。
■応募方法 展覧会の企画書、作品資料などを絵屋に直接お持ち下さい。
■締め切り 
2003年10月31日 2003年12月15日に変更
■発表   12月の企画会議(16日前後)後、直接応募者に連絡します。
※開催の決定した展覧会の会期は、応募者と協議して決定します。
 負担していただく経費は9日間の会期で7万円(作品販売を伴う場合。
 作品売り上げは作家と絵屋で折半)、
 または10万円(販売を伴わない場合)です。
※2004年後半で3回程度の準企画展を開催する予定です。

絵 屋 と ぴ っ く す
金子眞由さん瞽女唄公演
 7月の絵屋ライブで渡辺参治さんの友情出演がご縁となって実現した金子眞由さんの瞽女唄公演。眞由さんは絵屋のある並木町のお隣、南毘沙門町の小林さんがご実家ということもあって、ご家族をはじめ、顔見知りのご近所の方や同級生の皆さんが聞いてくださるアットホームなライブとなる。出し物は瞽女唄では定番という段物で、祭文松坂の「葛の葉子別れ」をわかりやすく解説を挟みながら三段まで聞かせてもらえた。どっぷりとその世界に引き込まれた観客の皆さんはその後の展開が気になって終了後も四段目の解説をねだる人も現れる始末。新潟市内で瞽女唄を継承するのは金子眞由さんひとりと聞いたが、電波で伝わる今様の娯楽にはない魅力にあふれる瞽女唄をできればこれからも絵屋でやっていただきたいと思った。(R)真由
天音堂ギャラリー開設
 今年5月絵屋で個展をした山口ヒロミさんがこの10月、大阪堀江に画廊を開かれました。亡くなられた娘天音(あまね)さんをモチーフにした山口さんの銅版画を折々展示するほか貸ギャラリーもされるとのこと。大阪にお立ちよりの際に覗いてみて下さい。
■天音堂ギャラリー 
 大阪市西区南堀江1-18-27 四ツ橋セントラルハイツ6F 
 TEL. FAX. 06−6543−0135

   

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