2003年11月

2003年10月の絵屋

2003年12月の絵屋

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2003年11月2日〜11月10日
 

山谷秀昭(やまたに ひであき)
■1954年下田村生まれ。プロダクトデザイナー。77年東京デザインスクール卒業。デザイナー、教職とファッション業界で活動。95年デザイン集団「ボッテーガ・ジラソーレ」ブランド設立。ガラスと鉄を主体に照明、家具、デコラティブ ホーム アートの制作を始める。東京南青山「プロプ」にショールームを開設、ミラノと新潟を拠点に作品を発表。BGブランドの展覧会多数。新潟デザイン専門学校非常勤講師。

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山谷秀昭の「あかり」はガラスと鉄から生み出される。ガラスは割って砕いたもの、鉄は放置され錆びたものを使う。それは人が歴史の中で長く使ってきた二つの素材を、再びリアルに「気づく」ための山谷の手法である。
そうした初源的アプローチは素材だけでなく「あかり」本体にも見ることができる。数百のガラス片を組み上げたランプに灯を入れると、様々に屈折し拡散する光が綾(あや)を成し、「あかり」が陰影を目的としていることに気づくだろう。作りだされた光と影が温かく美しい。そして、とても懐かしい。
『ゆらぐあかりの綾は、時を超えて意識の深層に語りかける』と山谷は言う。確かに、人の心に訴えかけてくる山谷の「あかり」たちは、初源的な情景を私たちに想起させてくれるに違いない。(伊藤信行)


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2003年11月12日〜11月20日
 

主催:堀割再生物語プロジェクト実行委員会
企画協力:新潟絵屋

三芳悌吉(みよし ていきち)
■1910年東京向島に生まれ、新潟に育つ。新潟大学解剖学教室で顕微鏡図を描くかたわら、絵を独習。その後東京帝国大学医学部の森於菟教室に就職。太平洋美術研究所に学ぶ。二科会出品を経て、戦後は行動美術協会に参加。伊藤整、大岡昇平、佐多稲子、壺井栄らの新聞小説の挿絵を描く。絵本も多数。96年、新潟で育った少年時代を描く自伝絵本『砂丘物語?・?』を福音館書店より刊行。?巻執筆中の2000年90歳で没。

●絵本『砂丘物語?・?』と未刊の?巻から、堀と水辺を描いた原画30点を展示します。
※作品頒布はありません。

堀と柳の新潟とは一体何処にあったのか? 昔の堀割の写真を見る度に抱いていた疑問は、三好悌吉氏の『砂丘物語』を読んで漸く氷解した。幼い頃の記憶を丹念に拾い上げて著したこの物語は、堀の町に住む人々の暮らしがくっきりと浮かび上がっていた。本町市場や日和山の浜茶屋など今も残る風景、春告魚と呼ぶイトヨを七輪で喰う、仲間と釣りに行く、抜けた歯を屋根へ投げる、初冬に突然霰に降られる、年の暮に山ほどの買い出しに行く、などの光景が私の少年時代と重なり、堀の町が紛れもなく新潟であったことを納得した。しかもこれは僅か80年前のお話で、私の爺さまもその町で暮らしていたことに思い当たり、胸が熱くなった。堀が消えて40年。水の都の再生に挑む堀割プロジェクトにとって、『砂丘物語』はその活動の大きな支えとなっている。(川上伸一・堀割再生物語プロジェクト実行委員会会長)
 
  
2003年11月22日〜11月30日
 
chinap(チナップ)
■NCAD国際ファインアート科を卒業した有志により2000年結成。その後ライブペイント、グループ展、各自の作品発表と現在も活動を続ける。
★高橋トオル:創作集団chinap(チナップ)主宰。グループ展開催の傍ら各アートイベントに参加。2001年よりフリーデザイナーとして仕事中。1977年生まれ。
★角田定秋:絵を中心に創作活動をする。2002年「表現人」にて個展。1977年中条町生まれ。
★久住達朗:2001年長岡市Cafe&Gallery Zenにて個展「japonizum」開催。長岡市在住の若手クリエーター。1979年長岡市生まれ。
★佐藤陽平:油絵、水彩画、イラストを制作。1977年水原町生まれ。
★高橋由樹:主に立体造形を中心に、イラスト、コンピューターグラフィックを制作。1978年味方村生まれ。
★三田和久:2001年新潟絵屋にて三人展開催。1978年新潟市生まれ。
★宮川亮子:ミクストメディアを中心とした作品を中心にイラスト等を制作。1977年巻町生まれ。

「chinap」を初めてみたのは3年前の夏、クリケットvol,1の会場だったと思う。二十代前半の彼らがでかいパネルを立て、それをカンバスに大衆の前でライブペインティングをしている姿を見て、新潟にもこの様な事をする若者が出現してきたな、と嬉しく思ったものだ(年寄りじみた記述だが)。その後roopbar('01,4)アートイベント海の日('01,7)クリケットvol,2('01,8)と立て続けにアートパフォーマンスを披露、アート集団として若者を中心に認知されるようになった。その後も数多くの発表の場を持ち活動を続ける。現在は「chinap」としての集団的活動の頻度は少なくなっているようだが、各自の創作活動は変わらず前向きだ。今回はそんな各自の個人作品を多数展示、そして「chinap」といえばライブアート。開催初日22日(土)を皮切りに最終日まで絵屋においてライブアートを行う。日々進化するしていくチナップ作品と彼ら個人作品、共に堪能して欲しい。(伊藤純一)
 

絵 屋 と ぴ っ く す
吉田勉ライブ IN 絵屋
 「季刊ばらくて」の人気連載「鵺式(ぬえしき)」の作者であるサティリスト・吉田べんさんは、実はクラシックギタリストであり、また、巧みな「トーク芸人」でもあります。わたしが「絵屋ライブ」をやろうと思いついたのは、そんな吉田さんの芸を、もっと多くの人に聴かせたい、と考えたからでした。その機会がやって来たのは8月31日。観客は、見覚えのある顔を中心に10人ばかりでしたが、吉田さんのステキなギターの調べとトークに、みんな大満足の様子。特に、何食わぬ顔で繰り広げる、ひねりが効きまくったトークにはみんな大爆笑で、この人数だけで聴くのはもったいないとだれもが思いました。てなわけで、この吉田さんの芸を世間に広く知らしめるべく、某NAMARAに売り込みたいと思うわたしなのでした。(危)
 絵屋関係者の本の刊行が相次いでいます。前回もお知らせした『日本酒でごはん』(中島有香著、恒文社¥2,000・写真:村井勇、デザイン:上田浩子)のほか、同じ村井、上田コンビによる写真集『城下町村上町屋の人形さま・町屋の屏風まつり』(村上町屋商人会)も9月の屏風まつりにあわせて作られました(村上の町屋店舗で販売中)。絵屋と伊藤純一さん設計の再生民家の事例が紹介されている『民家再生の魅力 全国事例選集』(日本再生民家リサイクル協会¥2,500)、下町の調査を行っている新潟大学工学部助教授の岡崎篤行さんが分担執筆されている『日本の風景計画都市の景観コントロール到達点と将来展望』(西村幸夫+町並研究会学芸出版社¥4,200)も。この2冊は、絵屋で販売しています。ご興味のある方はどうぞ。

   

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