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2000年12月2日〜10日


 
「旅上」 1993年 油彩、パネル 41×61cm

林 哲夫(はやし てつお)
■1955年香川県生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒業。79〜80年渡欧し英仏に滞在。個展多数。本業の画家のほかに、本の装丁を手掛け、古書愛好家の一面を持つ。エッセイ、評論も多数発表する。94〜98年文芸書物同人誌『ARE』を編集。99年より雑誌『SUMUSU』の編集に加わる。著書に『林哲夫作品集』(風来社、1992年)他。京都市在住。

画家の林さんは、素敵な文章家でもある。時折送っていただくエッセイを読んで感じるのは、林さんの場合、本(特に古本)との付き合いが、絵や日常生活とほぼ同じウェイトを占めているらしいことだ。その林さんが描く古本の絵が、私は好きでたまらない。
まるでさわれそうに描かれた古本の砂色の背景は、台や壁らしきものの面が確固として感じられるのに、実在感が不思議にあいまいだ。そのあいまいという隙間を、なにかが流れている。十代の頃、二段ベッドのすみで小説に読みふけって、体ごと本の世界に抜け出した感覚を思い出して気づくのだが、流れているのは、あの本の中の時間なのだ。これは本のなかに置かれた、本の肖像なのである。
じっと見つめていると、背表紙のよれや破れ目から、そんなメビウスの帯へ視線が誘い込まれ、見ている本をなんだか夢中で読んでいるような気分になってくる。 (大倉 宏)




2000年12月12日〜20日

『SELF AND OTHERS』より 
 

牛腸茂雄(ごちょう しげお)
■1946年新潟県加茂市生まれ。桑沢デザイン研究所写真科卒業。建築事務所などで働きながら、個展で写真を発表。また写真集『日々』(関口正夫との共著)『SELF AND OTHERS』(日本写真協会新人賞受賞)『見慣れた街のなかで』を自費出版。ほかインクブロットによる作品集『扉をあけると』を刊行。1983年心不全で死去。90年代に写真評論家飯沢耕太郎らの注目により、静かな再評価がはじまる。

■写真集『SELF AND OTHERS』の作品全点を前期(12〜16日)後期(17〜20日)に分けて展示・頒布します。ほか、写真集『「幼年」の時』からも出品します。
 

言葉にすると嘘になる気持ちがある。嘘になるだけならまだしも、全く言葉にしようのない感情がある。それを、写真家はパチリと印画紙に定着してしまう。だから私は、いつも写真家に嫉妬してきた。
それにしても牛腸茂雄の写真のどこにそんなに魅かれてきたのだろうか。ジワジワと噛めば噛むほど味わい深いことぐらいは端から承知の上だった。言葉を越えた一瞥の深層に分け入っていることは理屈では納得済みだった。なにしろ牛腸の「写真家としての眼差し」についての映画を撮ったぐらいだから、彼の写真は嫌というほど何度も眺め続けてきた。それでも、牛腸のたった一枚のプリントの奥行きに負けるのである。だから私は写真家に嫉妬し続けるしかないのである。 (佐藤 真)




2000年12月22日〜27日

1999年L-REXリレーアート展「LOVE-MOVE」より
 

参加メンバー 
伊藤純一(1963年生まれ:建築家・しょっぺ店研究家:新潟市在住) ●今井みどり(1976年生まれ:座る★ものづくり:新潟市在住) ●上田浩子(1963年生まれ:托鉢デザイナー:新津市在住) ●笠原賢悟(1966年生まれ:レンダラー:新潟市在住) ●櫻井謙一郎(1965年生まれ:画家・デザイナー:新潟市在住) ●高橋一裕(1957年生まれ:コピーライター・ミュージシャン:新発田市在住) ●チャック(1962年生まれ:アルチジャナート:亀田町在住) ●眞島裕之(1962年生まれ:ビジュアリスト:新潟市在住) ●真優(1976年生まれ:フォトグラファー:新潟市在住) ●ヨウイチ(1971年生まれ:DJ:CA’BAR’ET在住)
 

新潟の騒ぎ好きな作家たちが集まってできたプロジェクト、L-REX(レックス)。個々の作品を展示するだけではなく、メンバー同士がいろんなかたちでリレー&コラボレートし、刺激や共感を得ながらひとつの空間をつくりあげる「リレーアート展」を毎年開催している。今回は、この12月に開催される第3回リレーアート展に参加したメンバーの作品をアフターエキシビションとして紹介。L-REX流年越しを一緒に楽しんでください。 (伊藤純一)




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