2001年5月

2001年6月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  


 


2001年5月2日〜10日

「子 供」 2001年 岡崎石 H43.5cm
 

漆山昌志 (うるしやま まさし)
■1955年安田町生まれ。愛知県岡崎市で石工修行。81年帰郷し漆山石像彫刻を開業。県内各地の寺社などの狛犬、石仏、石灯籠などを制作。88年から県展、芸展で奨励賞受賞。94年・96年芸展連盟賞受賞。20展に石彫を出品。96年・2000年県00年二科展特選。

新潟下町に詳しい方は、湊稲荷神社の願掛け狛犬が、数年前代替わりしたのをご存知だろう。神社の前にあった堀に投げ込まれ、今は道の下に埋まっているという初代から数え三代目になるらしい。制作したのが安田町の石工、漆山昌志さんである。引退した二代目(江戸時代)と同じ狛犬を彫った、と作者は言うけれど、どう見ても前よりふっくらしている。
この「ふっくら」は、漆山さんの無意識から現れてくるもののようだ。仏像や墓石の蓮台など、石工としての制作のかたわら、十数年前から主に地元の安田石(草水石)を刻んだ「彫刻」を県展などに出品してきたが、どの姿形も同様に豊かである。加えてどれも、実に魅力的な、いい顔をしている。石のかたまりの中に、とてつもなくひろーく深い空があり、その底を流れる風、あるいはせせらぎの音に、じっと耳を澄ますかのよう。そばに立つと、森の中のように心が静まり、やがて根元からあったまってくる。(大倉 宏)



 


2001年5月12日〜20日

「ガラ猫くん」
 
紙粘土、アクリル塗料  H23cm 
  

深井和子(ふかい かずこ)
■1979年京都河合玲デザイン研究所卒。同時期にフリーデザイナーになる。92年キッコーマン「めんみ」CMイラスト・書き文字担当及び出演、以降企業のイメージキャラクター制作等を手掛ける。99年NHK教育「人間講座」タイトル文字担当。個展は90年より大阪、京都、東京、新潟をはじめ高知、福岡、広島等、日本全国各地で開催。90年「おおきくなあれ」(ぱるす出版)、97年「こころまんまる」(東京堂出版)、99年「四季のたより全4刊」(東京堂出版)出版。新潟県上越市生まれ。

深井和子さんのサイト

深井和子といえば、「ふ〜ちゃん」シリーズで代表される、あのほのぼのとした元気がでるような詩画を思い浮かべる人も少なくないだろう。彼女の文字や絵には独特な味があり、詩は若者の心を捉えてやまない。
その深井さんが最近招き猫創作に精を出している。この招き猫達、着物をまとった様な、日本的でもあり又アジアの匂いがする明るいデザインで覆われている。顔の表情はシニカルで個性的、ひとめで深井作品とわかる独特な個性を発している。元来元気を与える作品が多い彼女の作り出す招き猫は、文字どおり明るさや元気を招いてくれるだろう。
今回の展覧会は、深井さんの従来の詩画のほかに、この招き猫と猫がまとっているデザインパターンの作品、明るい色彩のアクリル画等、まさしくタイトル通り深井和子のもう一つの世界を紹介する。深井さんの作品にふれれば元気が出る事間違いない。(伊藤純一)
 

5月12日(土)2:00pmから、深井さんのご友人で口琴奏者の角 等さんによる民族系音楽演奏を行います。角さんの演奏と深井さんの作品が作り出す爽やかな空気をお楽しみください。(入場無料)

角 等(すみ・ひとし)
1951年鹿児島生まれ。口琴奏者。沖縄に住み、琉球音楽を学ぶ。その他の民族音楽にも造詣が深い。ケーナ、インディアンフルート、ディジュリドゥー、ムックリといった民族系楽器を自ら作り、演奏活動をする。現在長岡市在住。



 


2001年5月22日〜30日

「交」(部分) 1999年
墨、アクリル、エナメル、和紙 53×45.5cm
  

櫻井謙一郎(さくらい けんいちろう)
■新潟県吉田町生まれ。7歳より墨と筆に親しむ。98・99・2000年「L-REXリレーアート展」企画運営出展。2000年「ギャラリーほくげん」(新潟市)、「(財)北方文化博物館屋根裏ギャラリー」(横越町)個展、「大島画廊」(上越市)で二人展。2001年ESPACE CARRE D'OR(パリ)個展、TRANS PYRAMIDALE D'ART合同展覧会(パリ、カイロ、モロッコ)巡回展。

筆を持つと何故か緊張してしまう。手本通りに書かなくちゃいけないという、小さい頃の習字の時間のプレッシャーが今も尾を引いて、私を力ませるのだなどと言い訳してみたりして。
櫻井さんの作品を見ていると、そういった変な力みがふっと抜けるような気がする。和紙と墨、日本画や陶版などさまざまな手法をとる彼の作品に共通して感じるのは、やわらかな風の通り道のような息吹だ。何もかしこまることはないよ。筆はこんなに自由に歌うことができるんだ。自身が楽しんでいるからこそ生まれるその息吹と、向こう側にほんのり浮かぶ明るさが、私には心地いい。
愛用する手漉き和紙の産地・高柳町の子どもたちとの共同創作や、2月のパリでの個展など、しなやかに活動の幅を広げている櫻井さん。絵屋にその息吹が吹き込まれるのを、とても楽しみにしている。(上田浩子)

5月27日(日)2:00pmから櫻井さんのパフォーマンスが行われます。お気軽にお立ち寄りください。(入場無料)

櫻井さんとともに、和紙に墨で一文字づつ順番に書いて、しりとり遊びを楽しみます。思いがけない言葉が生まれたり、墨の魅力をあらためて発見したり、普段から筆や墨に親しんでいる方も、あまりなじみがないという方も、どうぞ気楽にご参加ください。

 


   

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