2002年1月5日〜10日
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西村繁男 「花をかかえる馬」
2000年 アクリル、グワッシュ、紙
40×29cm
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小林春規(こばやし はるき):版画家、表具師。1953年水原町生まれ。幼児より木版画をはじめ、表具の仕事は京都で修業。90年より笹神村在住。2000年10月絵屋で個展開催。
笹川周子(ささがわ しゅうこ):版画家。1974年新潟市生まれ。新発田市在住。2001年絵屋で個展開催。
菅原愛美(すがわら あいみ):さし絵描き。1974年埼玉県生まれ。1995年新潟デザイン専門学校卒。さし絵、グラフィックデザイン業務に従事。南蒲原郡栄町在住。
西野一男(にしの かずお):版画家、画家。1939年埼玉県入間市生まれ。高橋絵画研究所で油彩を学ぶ。現代画廊、画廊宮坂などで個展。日本版画院同人。2000年8月、2001年10月絵屋で個展開催。
西村繁男(にしむら しげお):絵本作家。1947年高知県生まれ。主な絵本に『やこうれっしゃ』『おふろやさん』『絵で見る日本の歴史』(以上福音館書店)『にちよういち』(童心社)など。神奈川県在住。
深井和子(ふかい かずこ):カリグラファー。「ふ〜ちゃん」シリーズ、『こころまんまる』などを出版。2001年5月絵屋で個展開催。上越市在住。
福知伸夫(ふくち のぶお):版画家、絵本作家。1968年東京生まれ。絵本の仕事に『ひとつひまわり』『ずるがしこいジャッカル』(福音館書店)など。東京都在住。
布施 渥(ふせ あつし):招き猫絵師。1944年東京生まれ。「ブルーミング中西」いつねこグッズデザイン(全国発売)、全国の招き猫イベントに出展、実演を行う。新潟市在住。
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大黒様にエビス様、小判にタイに宝船。今では西蒲原郡月潟村の一社のみで作られている縁起物、「まゆ玉」飾りを上(かみ)の本町市場で見掛けた。月潟村では舞玉とも呼ばれ、昔はどの家庭でも小正月に飾る一般的な風物だったとの事である。そういえばわが家でも飾っていたなぁと思い出し、懐かしさに駆られ買ってみた。水木(みずき)の枝から下げられたタイや小判の優しい色を眺めていると「めでたい小宇宙」を覗いている様で、何とも幸せな気分にひたれるのは何故なんだろう。鉛色の空が続くこの季節、部屋の中が優しくなった一時でした。さて12月に引き続きまゆ玉飾りの様な「おめでたい」もの達が集まった新年絵屋の小宇宙。グフフ、皆さん、来てくんなせて〜。 (野内隆裕)
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2002年1月12日〜20日
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「緑の雲」 2001年 グワッシュ、紙
27×22cm
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等々力弘康(とどりき ひろやす)
■1943年新潟生まれの新潟育ち。特に画歴はないが、幼少の頃より絵画に親しむ。現在、来年5月・6月の個展のための制作(〈WIND DREAM〉シリーズ)をしつつ、人生の後半、時間の流れを取り戻すべく、来春絵之國への脱出を計画中。
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等々力さんの筆の動きを、激しいと見る人があるかもしれないが、私は繊細を感じる。荒々しく見えるのは、アクセルを精一杯踏みこみながら、ブレーキを押したような摩擦音がターンに響くせいだが、それは無茶ではない。そういう走法でしか突破できない地点を、等々力さんは見ているのだと思う。
摩擦熱は大きく鋭利なはさみになって切りとり、除く。描写とか、構図とか、技術とか、形とか、等々力さんにとって絵が絵でしかないことに不要なものぜんぶを。切り落とされた場所は広い空白になって、絵に照り返す。等々力さんの色は明るく、美しいが、それは絵でないものの不在によって輝いている。
私は、等々力さんの絵の色から、筆のかすれから、ふい打ちのように流れてくる匂いが好きだ。目の周囲の幻影みたいに、鼻を近づけると必ずそれは、なぜとも知れずに消えてしまうのだけれど。(大倉 宏)
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2002年1月22日〜2月3日
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「共性」 2000年
油彩、キャンバス F4
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渡邊 博(わたなべ ひろし)
■1938年新潟生まれ。熊谷喜代治にデッサンを学び、後笹岡了一に師事。日展、光風会に出品し66年光風会会員となるが、68年退会。以後は紀伊国屋画廊、美術ジャーナル画廊、現代画廊、ギャラリーXepia、ギャラリー銀座汲美(いずれも東京)などで個展により発表。新潟での個展は91年新潟伊勢丹に続き2度目。
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1980年代の後半ころ、はじめて見た渡邊さんの絵には、日本人形の少女や陶磁器、鏡台、経文の文字らしきものなどが浮遊していた。その後の十数年でイメージは背景のやわらかい暗がりに吸い込まれ、見えなくなった。けれど消えたのでないことは、完全抽象になった絵から流れてくる気配でわかる。
旧い不可視の日本に戸口を開放することで、渡邊さんの絵は見えにくさ=抽象の外観を得た。その暗がりのなかは奥深く、複雑で、心地よい。神社の境内のくすの大木の陰や、路地や、町家のほの明るい通り土間のように。
イメージの水没はしかし、渡邊さんの絵が「旧い日本」に生かされながら、そこからのゆるやかな自立をもはじめたことを物語るだろう。ひさびさに渡邊さんの絵を、近作を間近に見られるのが、とても楽しみだ。 (大倉 宏) |
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