2002年3月

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2002年3月2日〜10日
横川美智子(よこかわ みちこ)
■新潟県中蒲原郡村松町生まれ。76年新潟大学教育学部特別書道学科卒業。79〜81年武蔵野美術学園で日本画を学ぶ。81年日本画大賞展入選、82年日春展入選、以後複数回入選。91〜97年舞踏家大野一男のスタジオに通う。98年イスラエル(エルサレム)に滞在。01年11月より新潟伊勢丹文化教室で水彩画を教える。現在東京在住。
画家が花を描くとき、そこに何を描きたかったのだろう。
人はしばしば「抽象画がムズカしい」と口にする。けれども一見解りやすい「花」や風景、人物などを描いた具象画の方が紙やキャンバスの上に描かれた色や形を理解したつもりになって、その先をみようとしないのではないか。
画家が描きたかったのは純粋にそのフォルムや色の美しさだったのかもしれない。あるいは花のかたちに託した、もっと別のもの――空気であり光であり、自分自身の感情であったり――なのかもしれないのだ。
かつて書道をやっていた横川さんの線は爽やかで清々しい。今回の個展は弥生三月にふさわしく新潟絵屋の大家さん、幸田家所蔵の昭和初期の古い雛人形を飾ってみる。
横川さんの「花」と雛人形は、どんなコラボレーションをみせてくれるだろうか。
(田代早苗)

 


2002年3月12日〜20日
松野真理(まつの まり)
■1950年兵庫県生まれ。京都薬科大学卒業後、京都市立芸大を出てパリへ遊学。その後はパリと神戸にアトリエを持ち、往復する生活がはじまる。在学中から各種の公募展に入選し、79年からフランスと神戸、京都、大阪と国内の各地で毎年個展を開催。今年も1月から絵屋展ギリギリまでパリ在住とのこと。日本では神戸市灘区で暮らす。
昨年の暮れ、酒仙のK氏から突然「神戸の綺麗どころが2名ほどやって来られますが、ご縁があったら是非」というありがたい電話を頂戴した。もちろん私は駆けつけた。その神戸の綺麗どころのおひとりが、松野真理さんその女(ひと)であった。
K氏と真理さんは京都薬科大学の同窓生で、美術部にいたK氏が真理さんに入部を薦めたのが、真理さんが画家になるきっかけになったという。酸いも甘いも噛み分けた苦労人であり、あっけらかんとした自由人のようでもあり、魅力的な女(ひと)だと思った。
私も初対面ながら、酒の力と同じ寅年生まれということもあって、話は一挙にもりあがり、今回の絵屋個展開催となったのである。
「なんでモデルはあちらの女(ひと)ばかりなのですか」「安いから……」。裸婦像がライフワークだという真理さん、絵屋が初めて裸婦で埋まる。(旗野秀人)
 
2002年3月22日〜30日
井田英夫(いだ ひでお)
1975年新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒業。1999年モンセラート美術大学(アメリカ、マサチューセッツ州)卒業。ミンゴーギャラリー(マサチューセッツ州)で二人展。




「教会の裏」2001年 
オイルバー、カンバス 
68.5×53cm
絵屋に来た井田君が帰りしな、ひょいと頭を下げた。土壁に頭がぶつかりそうになったからで、井田君は体がそれくらい大きい。6年前、新潟の専門学校にいた頃の彼は、大きい体を申しわけながっているようなおずおずしたふうがあり、その感じは絵にもあった。
去年アメリカから戻った井田君に、むこうで描いた絵を見せられて私は驚いた。絵のなかで、彼は大きな背を存分にのばしている。繊細で、生き生きして、ひたむきな目が自画像や町の風景や親しい女性を描いた絵のなかで、宝石のように輝いている。アメリカという場所の、日本と違う空間のスケールが、井田君の体と心を縮こまった殻から解放したというしかないだろう。
このどきどきするほど若い絵を、新潟の人たちにふるまいたくなった。   (大倉 宏)
 

   

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