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2002年7月2日〜10日
  

チャメ(小川定信)
■1962年新津市生まれ。81年新潟スクールオブアカデミーデザイン科修了。83年(株)アドプロダクションエム入社、グラフィックデザイン業務に従事。90年新潟市美術館市民ギャラリーにて、フォト&イラストレーション5人展開催。新潟市在住。今回は立体アートを中心に展示。

←チャメ 「変身」 

 

 

チャック(藤井芳則)
■1962年新潟市生まれ。87年頃から新潟市を中心に飲食店・ブティック・アミューズメントなどの壁画、オブジェの制作を手がける。2000年よりLREXに参加し、作品の発表を続ける。今回はキャラクターアートを中心に展示。

←チャック 「C.I.U」(シーアイユー)

チャメ(小川定信)、チャック(藤井芳則)、同年代の彼らは共にポップな生き方・作品で、常に若者の心をとらえ知る人ぞ知る二人だ。二人の作風はどことなく共通性を感じるが似て非なる。チャメの創り出す立体アートには「毒」がある。作品の入っているケースがワンカップの容器というのもユニークだ(もちろん本人がすべて飲み干したそうで)。チャックの創るキャラクターには「失笑」がある。息吹を吹き込まれたキャラクターには忘れようにも忘れられない個性がある。いずれにせよ、そんな二人はお互い面識はあったとしても、今回のように共に作品発表をするとは思ってもみなかっただろう。
偶然にも昔から愛称で呼ばれ続け、本名より愛称の知名度が高い二人。かつてウォーホール、バスキア、キースへリングといったアーティストが時代を作ったように、彼ら二人が時代を築く可能性があると言っても空言ではない。ベクトルが同じ向きでありながら、それぞれの個性が光る作品。そんな作品に囲まれた空間は、まさしくコラボレーション空間になるだろう。   (伊藤純一)

 


 

2002年7月12日〜20日
  

小林春規(こばやし はるき)
■1953年新潟県水原町生まれ。幼時より木版画を始める。18才で初の個展後、京都の表具師の内弟子となり、表具の仕事を続けながら版画制作を続ける。90年新潟県笹神村に転居。70年より日本アンデパンダン展、平和美術展に出品。ほか個展、グループ展多数。2000年10月新潟絵屋で新潟下町の連作を発表。

←「蒲鉾屋」2000年 木版、21.0×28.5cm

新潟下町は湊町の歴史が残る、生活感の匂う街。というようなことを、私自身も書いてきた。しかし小林さんの下町の版画を見ていると、この街のもう一つの顔に気づく。それは一種の荒涼感ともいうべきもの。背景にはここが町中の過疎地だということがあるだろう。
でも、それだけではない。新潟は川の先端、砂丘と河口の間、日本海の東のはての空白に差し出され、荒天にさらされた場所にある。
五泉や村松など内陸の人から、風の強い新潟は人の住むところじゃありませんとの感想をよく聞く。そういう場所にけれど祖先たちは町をつくり、暮らしとなりわいを、数百年積み重ねてきた。自然に虐められつつ、しぶとく生きてきた町。そういう場所の顔、よどみと陰影と年輪をも、小林さんは静かに見ている。(大倉 宏)
 
  

2002年7月22日〜30日
  

真島伝次(ましま でんじ)
■1948年巻町生まれ。日芸協元会員、二科会新潟支部同人、 イタリア・トリノ市文化貢献名誉作家、日蘭文化貢献名誉作家。二科会新潟支部努力賞、第7回アートワールド賞、第6回武蔵野芸術賞、アメリカ・ラスベガス国際芸術交流賞、二科会連続入選。個展、グループ展、常設展多数。
  
←ペン、紙 21.0×29.7cm
真島伝次さんの裸婦の絵は、クロアチア人の評論家に「日本人のための日本人による裸婦」と言われたことがあるのだそうだ。
なるほどね、と思う反面、それだけなのかな、とも思う。確かにペン画、水彩による植物や風景画はどこか日本画的だし、ふっと日本的な空気を感じる。
でも油彩による裸婦は、そんな日本的な枠の中に留められない不思議な魅力を持っている。色彩は明るく、湿っていない。画の中に爽やかな風が吹いているようだ。そこに描かれている女たちもエロティックでありながら湿ったいやらしさが無い。「モデルはみんな日本人ですよ」と真島さんは言うけれど、巻の海岸でありながら巻でない、日本人でありながらもっと別の世界から来た美しい女たちに見える。人工的であるとか、人形のようだ、という意味ではない。恋人を抱き締めるのであろう熱い腕も、砂浜を踏みしめる足も、確かな筋肉と骨格を持ち合わせている。彼女たちはきっと、真島さんの内にある美しい世界から来た旅人なのだろう。 (田代早苗)
 

   

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