2002年12月

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2002年12月2日〜10日
 

嶋 行比古(しま ゆきひこ)
■1950年東京生まれ。72年個展「房江」(銀座ニコン・サロン)、「羽仁進監督〈午前中の時間割〉」、写真集「Every Time I meet Here」出版。76年個展「記憶の里」(新宿ニコン・サロン)、「ファッションの世界」(原宿コンタックス・サロン)。78年個展「Wish You Were Here」(原宿コンタックス・サロン)、83年「ヴィンテージ・プリント展」(青山SPEACE Yui・京都ギャラリーDOT)、89年写真集「記憶の里」出版。95年個展「DANCING ON THE COURT〈Portrait of Gabriela Sabatini〉」(東京・京都・ニューヨーク)、97年Amazon Com Book's「DANCING ON THE COURT」出版。98年PORTRAIT OF A SCENE「無花果の木の下で」出版、99〜02年国内巡回個展「無花果の木の下で」全12カ所2002年末終了予定。

※私の作品のすべてが「portrait photography」です。
好奇心を表現するすべては等価値であり、そこに映し出されたものは私自身なのです。
 

まず嶋さんの作品を見て欲しい。「白黒写真」と一口に言っても、そのモノトーンの階調がいかに豊かで美しいか、解ってもらえるだろう。
特に写真は、版画以上に複製のたやすいもの、ともすると写真集などの印刷物として目にするもの、と思われがちだが、作家自らの手によるオリジナルプリントは絵画作品に決して劣ることのない一点物なのだ。
とりわけ嶋さんのオリジナルプリントは美しい。料理も素晴らしく上手な嶋さんだが、初めて彼の手によるプリントをみせていただいた時、印画紙の黒の深みもグレーのトーンの柔らかさ、繊細さもまるで宝石のようだ、と感嘆したものだ。今回の作品展は一見ドキュメンタリーを思わせる手法で撮られている。かつては日本のあちこちにみられ、今はどこにも見あたらない農村の風景。これは記録ではなく記憶である。嶋さんの思い出の風景は印画紙に封印され、観る者を不思議なデジャヴュの世界へと誘ってくれる。      (田代早苗)


 
2002年12月12日〜20日
 

鶴巻加代(つるまき かよ)
■1946年京ヶ瀬村生まれ。69年県展初入選。82芸展奨励賞、98年会員賞。97年からは自由美術展にも出品。82年以降、新潟、新発田、豊栄ほかで個展多数。豊栄市在住。

←2001年 ペン、紙 14.8×10cm

 

 

 

Emmie(エミイ)
■1978年群馬県藤岡市生まれ。99年新潟デザイン専門学校、国際ファインアート科卒業。同年9月よりアメリカ、マサチューセッツ州、モンセラート美術大学に留学し、ペインティングを専攻。2001年二月に帰国。新潟市在住。

←2002年 アクリル、キャンバス S-6

鶴巻さんとEmmieさんの二人は、まだ面識がない。
Emmieさんはアメリカの美術学校に何年か学んで、この春から新潟で母校の後輩に絵を教えている。向こうで描いた絵の写真を見せてもらった時、何となく、鶴巻さんの絵が浮かんだ。
鶴巻さんの絵には、十数年来の親しさの身勝手で、時に苦言も呈させていただいているけど、引かれるものがそれもあるから、と自分では思ってきた。何に? それをEmmieさんの絵のそばで、考えてみたいと思った。そんな、ほんのプライベートな気持ちで思い立った展覧会。私のわがままを聞いて下さった二人に、感謝を。
絵と絵がどこかで照らし合う展示をしてみたいのだが、どうなるか…。少し不安で、ちょっと楽しみでもある。(大倉 宏)
 
  
2002年12月22日〜2003年1月10日
 
いまきみち(今木 道)
■絵本作家。1944年神戸生まれ。武蔵野美術大学卒業。73年『あそぼうよのえほん(全3冊)』(福音館書店)を出版。以後、かきわけ版で多数絵本を出版。90年神田神保町の美学校の工房で本格的に版画(石版、銅版)制作を開始。94年世田谷けやき美術館で初の個展。以後、生活と絵の係わる空間で個展、グループ展を多数開催。2001年4月新潟絵屋でも個展。神奈川県藤野町芸術村に在住。

←「1パイの水〈窓〉」1999年 木版画 12.2×12.4cm

◆12月22日(日曜日)いまきさんが新潟絵屋にいらっしゃいます。
 午後3時より、音楽といまきさんの絵によるスライドショーを会場で行 います(無料)。どうぞおいで下さい(子供の参加も可)。

夏の午後、ガラスのコップに勢いよく水が注がれる場面で、『コップ』(「こどものとも年中向き」 No.197 2002年8月・福音館書店)は始まる。光が差すと、水へ蝶がまよいこむ。底の川辺で猫が目覚め、蝶を追いかけ魚をとろうとして溺れかける。駆け寄って助けた女の子は、家に戻ると水を今度は一気に飲みほし、猫とならんで午睡する。
そんな不思議な新作絵本の原型が、数年前に作られた版画の連作「1パイの水」。2年前に見せていただいて、なぜか真冬の絵屋に掛けたいと思った。それも、年越しのころ。
コップに川が流れ、木が茂り、虹がかかり、雷が鳴る。冬の青く冷え切った空気の底。みぞれや雪をのみこむ暗い日々を、これらの絵が静かに幻想の鏡に映しだし、やわらかく、明るませてくれるといい。(大倉 宏)
 

   

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