2003年2月

2003年1月の絵屋

2003年3月の絵屋

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2003年2月2日〜2月13日
 

出展作品:
絵画(油彩)、グラフィック・アート、写真、染色、楽器(チェンバロ)、照明

後援:下田村教育委員会

 

←「雪の守門川」弥田正蔵

出品作家

石月恵子(いしづき けいこ)■1942年東京生まれ。手描友禅作家。63年日本デザインスクールグラフィックデザイン科卒業。67〜95年まで埼玉県在住。図案家故大前清弌氏、手描友禅作家木村正代氏に師事。埼玉県展連続入選、現代亜細亜美術展入選、98年奨励賞受賞。銀座「鳩居堂」「セントラル美術館」他グループ展多数。96年下田村に転居。現代亜細亜美術会員、東京都手描友禅技術者認定。ギャラリー「端門」主宰。

高橋靖志(たかはし やすし)■1960年加茂市生まれ。チェンバロ製作を高橋辰郎氏に師事。13年間の大阪暮らしを経て98年下田村へ移住。

鶴巻 悟(つるまき さとる)■1954年三条市生まれ。81年から下田村在住。12年前から洋画を描く。現在火曜会(三条市洋画グループ)会員、光風会新潟支部同人。“かもしか”をモチーフとして“しただ村”にこだわった作品を描く。(株)コロナに勤務し、新商品の開発業務を行いながら創作活動中。

坂内奈々子(ばんない ななこ)■1960年分水町生まれ。80年より下田村に在住。95年第3回アークベル入選以降本格的に絵を描き始め、宇賀治徹男(顧問)サークルみづゑに入会、活動中。

目黒由賀利(めぐろ ゆかり)■1962年愛知県生まれ。77年三条市に転居。同市内印刷会社企画部勤務を経て93年独立。M'sグラフィックを主宰。現在下田村在住13年目。家族は夫1人、子ども3人、猫2匹。

弥田正蔵(やだ しょうぞう)■1944年下田村(旧長澤村)生まれ。農林水産省新潟食糧事務所県央支所勤務。写真家上山益男氏の影響で写真を始める。県展奨励賞5回、入選15回、農林水産省総合美術展大臣賞、無鑑査特別賞。二科会写真部新潟支部会員、全日本写真連盟会員長岡支部長。01年下田村写真コンクール審査員。下田村在住。

山谷秀昭(やまたに ひであき)■1954年下田村生まれ。プロダクトデザイナー。77年東京デザインスクール卒業。デザイナー、教職とファッション界で活動。95年デザイン集団「ボッテーガ・ジラソーレ」ブランド設立。ガラスと鉄を主体に照明、家具の制作を始める。東京南青山「プロプ」にショールームを開設、ミラノと新潟を拠点に作品を発表。新潟デザイン専門学校非常勤講師。


下田村は、山々に囲まれた豊かな自然を有する美しい山里である。その歴史は古く、起源は奈良時代までさかのぼるという。そんな下田村を創作の場としている、様々なジャンルの7人の作家が絵屋に集まる。
創作者にとって、自分が生活する環境は、意識、無意識に関わらず、表現や作品に何らかの作用を及ぼす。例えば、自然が身近にあるのなら、自然は順境と逆境の両方をもたらし、創造の糧やヒントを与えてくれる。下田の自然や文化を肌に近い所で実感している7人の作品には、同質のトーンがある。また、共通する思いを感じ取ることもできるだろう。
作品たちは、ジャンルを越えて共鳴しあい「しただのオムニバス」を自ずと形成するはずだ。                    (伊藤信行)


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2003年2月15日〜2月28日
 
長谷川 徹(はせがわ とおる)
■1948年新潟市生まれ。69年武蔵野美術大学中退。92、94年安井賞候補。96年感動創造美術展グランプリ受賞。個展多数。新潟市在住。

←「出現―予感・1」 2002年
 油彩・テンペラ、キャンバス
 90.8×60.8cm

※会期中の土曜・日曜と最終日28日は作家在廊予定です。

18年前新潟で一人暮らしを始めたころ、知人に誘われ学校町の「亀満」という居酒屋に行った。奥座敷になぜか油絵が一点掛かっていて、長谷川徹さんの絵だと教えられた。一目でセザンヌの匂いのする筆づかい。
次に覚えているのは西堀通りにあったころのアトリエ我廊での個展。細いうすい鉛筆の線を重ねて描いた木の絵。枝先が空白に溶けている。稠密な仕事なのだが目を近づけると、幹と見えたところにも、無数の空白の穴があるように感じる。ほどけようとするモノが、細い糸でやっと縛り付けられているような。
細密画にもセザンヌ風にも、モノ(存在)を描こうとする筆触が無につきあたって、あきらめて空を仰いでいるみたいな表情が見えた。半端のまま、つじつまを合わせようとしないという姿勢が印象的だった。
長谷川さんのその後の抽象への転換は、唐突にも思えたけれど、彼の絵の底に巌のように根を張る空隙が、やっと自分の衣を見つけたのだと解すると、私はとても納得がいく。抽象になって長谷川さんは、描かれたいと自分の絵の奥から訴え続けてきたものに、正対するようになったのだ。
硬質で、なめらかで、どこか無骨で、少し重く、半透明な空隙。枯れ葉色やオリーブグリーンの絵の具がそこにぶちあたって、はじけ、屈曲し、飛び散る。ぱっしーんと、いい音が響く。
音は年ごとに澄んでくるよう。(大倉 宏)
 
 
絵 屋 と ぴ っ く す

 昨年12月22日の午後、いまきみちさんのスライドショーが絵屋で開催され、ござの敷かれた会場が、ぎっしり埋まるほどの方々が見にきて下さいました。新作絵本「コップ」のほか「1パイの水」「寺山修司 少女詩集」「半ズボンの歌」など。以前絵屋に飾った絵なども映し出され、音楽と語りの中で絵本や展覧会ともひと味ちがったいまきさんの詩を感じることのできた楽しいひと時でした。いまきさんのパートナーで絵本作家の西村繁男さんの「ピチクル ピチクル」のスライドも同時に上映されました。いまきさんの知人の娘さんとお友達の素敵なコカリナ演奏もあり、ショーのあとは手作りのケーキも振る舞われて、大にぎわいでした。


 新潟絵屋は、絵をかざる空間です。いつもいつも、人々の心をひきつける、すてきな絵がかざられています。
 絵でないときもあります。それはたとえば写真だったり、焼き物だったり、木工だったりします。それをみるのも、絵屋をおとずれるたのしみです。
 踊りをおどる人もいます。ぼくには正直よくわからないのですが、それをたのしみにしている人もたくさんいます。
 このあいだは、ライブがありました。というか、ぼくがいいだしっぺで、やらせてもらいました。年末のひとときをみんなが音楽でたのしみました。
 正直言って、ぼくは、どうも絵や美術のことはてんでよくわかりません。企画運営委員なのに、もうしわけないような気がいつもしています。でも、絵屋にくると、いつもなんだかたのしい気分になります。
 だから、ぼくはぼくができるかたちで、絵屋をたのしもうとおもっています。今年は、絵屋での音楽ライブを定例化させよう、とかんがえているところです。せまい空間ですが、絵屋でのライブは、きっとたのしい催しになるのでは、と今から期待しています。
 絵屋は、画廊です。でも、どうもただの画廊ではないようです。あつまる人それぞれが、それぞれのたのしみかたをみつけられる場所。それが絵屋なのだろう、とおもいます。(運営委員:S・O)

(写真:2002年12月28日、絵屋休廊中のライブ)


   

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