2003年8月 | |
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2003年8月2日〜8月12日 |
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モザイクとステンドグラスの製作には、光と色の科学や視覚生理学のロジカルな側面に、材料学の知識と造形表現が絡まり、あたかも多面体を組み立てるような難しさがあると思う。
しかし、多くのキャリアと技術に裏打ちされた大関と石倉の仕事に、そうした苦労をみつけることは逆に難しく、「軽やかさ」さえ感じる。二人ともいつも忙しそうにしていて、それは、表面の偏光を見ようとシャボン玉をつかまえる好奇心旺盛な子どものような印象を受けるのだ。 だからだろうか、大関と石倉の作品に接すると、子どもの頃、色付セロファン越しに世界を見たり、プリズムで虹を作ったり、万華鏡を覗いたりして、光と色と形の不思議に遊んでいた感覚を思い出し、何だかワクワク楽しくなるのである。 (伊藤信行) |
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2003年8月16日〜8月30日 |
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田中正弘(たなか まさひろ)
■1946年、新潟市生まれ。76年の初個展以後、東京銀座を中心に個展グループ展多数。90年「四季の径・彫刻大賞展」大賞受賞(古河市)。91年新潟市寄居浜に「夕日モニュメント」を製作。 ←「立棺」 photo:奥村 基 |
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何年か前、出来島にあったアトリエ我廊のがらんとした二階で、個展開催中の田中正弘さんの作品(人像)のまわりをうろうろしたことがある。ふと窓の外に目をやると、幹線道路沿いの住宅と商店街。その風景が死んでいる、ということが、突然見えた。続いて記憶のなかにいくつもの情景が浮かぶ。そうだ、あれも、これも死の風景だった。 包帯でぐるぐる巻きにされたその人像は、硬直し、身をそらし、男根を勃起させていた。死者が「自分の死」を意識し、興奮している。その波動が、いくつもの情景に隠されていた死の気配を、意識下から浮上させたのかも知れない。 親しい友の死をきっかけに始められた「死を恐れるな」シリーズのひとつ。抽象の作家が、そのような個人的体験を作品化しようとして、現れてきたのはミイラや棺といった類型的な死のイメージだった。類型的であることが、体験の衝撃や、せっぱ詰まった感情を生々しく伝えている。どこにもありながら気付かれない、また生きる感覚の半身あるいは裏面であるような「死」に身を寄せられる、思いがけなさに引き留められ、2,30分そこにいた。 今回の新潟絵屋での個展では、その後に続く「立棺」シリーズを中心に会場を構成していただく予定。和紙と土の壁と格子に囲まれた小部屋に、どんな気配がしみわたるだろう。 (大倉 宏) |
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絵 屋 と ぴ っ く す
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