2003年10月

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2003年10月2日〜10月10日
 

小磯 稔(こいそ みのる)
■1937年、東京生まれ。東京芸術大学美術学部工芸科(漆芸)卒。4年時に安宅賞、卒業制作(漆芸飾棚)でサロン・ド・プランタン賞。60年日本コロムビア入社。その後東京芸大、大妻女子大講師を経て、77年新潟大学教育学部助教授(83〜2000年教授)。現在新潟大学名誉教授、新潟市美術館協議会会長、同市景観審議会会長等。
 

「古代彷彿?」 2000年
  特殊樹脂板土に黒漆塗(呂色仕上)
  94.5×32.6cm

少ないけれど、私の家にも漆器がある。漆器店だった家から譲ってもらった小鉢、机など。ふれるといつも、時が瞬間、速度をゆるめるみたい。
小磯さんの仕事場でその秘密を垣間見た。塗りと乾燥を丹念に繰り返して作られる漆器は、それ自体が緩やかで深々とした時間の、透明な堆積物なのだ。
漆の研究者でもある小磯さんの作る器や絵は、この漆器本来の緩やかさの純度が、とても高いように感じる。けっして急や、鋭さに向かって走り出さない、坦々とした漆的リズムの水音から、形や色やデザインが汲み出されているからだろう。
やわらかい重さに引き留められ、目をふれ続けると、見る側のなかで時間が折り直され、ゆったり流れはじめる。
もっと遅く、遅くと、耳元で暖かい風がささやくよう。(大倉 宏)


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2003年10月12日〜10月20日
 
石井一男(いしい かずお)
■1943年神戸市生まれ。92年海文堂ギャラリー(神戸)にて初個展、以降毎年開催。94年ギャラリー石(大阪)、94・97・99年ギャラリー愚怜(東京)、96・98・00年松明堂ギャラリー(東京)、98年現代中国芸術センター(大阪)、02・03年ギャラリー島田(神戸)にて個展。

 

←「女神」 グワッシュ 22.8×15.8cm

昨年3月の松野真理さん(神戸)の絵屋展がご縁で、その年の6月に「阿賀に生きる」を神戸のギャラリー島田で上映できた。アートサポートセンター神戸の肩書きもあって新潟絵屋のような存在とも思えたが、地下にあるギャラリーは、あの世界的建築家安藤忠雄氏によるものだつた。ちょうど開催中だった石井一男展は宗教画のような印象で心に残っていたのだが、まもなくギャラリー主の島田誠さんから絵屋での開催打診があった。大正時代の棟割長屋の二階に住み、新聞配達の月収5万円で絵を描くことだけに専念し、49年間一度も作品を発表することがなかったという「現代の隠者」を世にだした島田さんとの出会いは、あまりに劇的。今年の7月、再びギャラリー島田で開催された個展は好評だったと聞く。聖母や女神のようだった肖像が微妙に菩薩や観音像に変化して見え、花や風景画も増して絵屋で開催されることは、新潟でも話題になり、新たなファンが生まれるに違いない。(旗野秀人)
 
  
2003年10月22日〜10月30日
 
山本真也(やまもと しんや)
■1946年山形県生まれ。71年東京芸術大学大学院日本画科修了。69年より日本美術院展出品。74年高松塚古墳壁画模写に従事。現在日本美術院特待、新潟大学教育人間科学部芸術環境講座教授(日本画担当)。2001年新潟絵屋で個展。

 

←「夕映のサーカス」 2002年
  岩絵具、麻紙 100×100cm

サーカスのテント脇を、キリンが歩いている。嘘でしょう、と言われるけれど本当なんです、と山本さん。今日本には3つサーカスがあるが、そこにエキストラで外国の曲芸師たちもやってくる。キリンが長い首を振って舞台を回ると、みんなびっくりするらしい。
2年前の個展にテントを描いた小品が1点あり、その前で山本さんと話した。画廊がサーカス小屋になるような展示をしてみたい、という日本画家の先生の言葉にびっくり。わくわくした。
先日、大学の研究室に伺うとガリ版刷りのポスター制作用の、日焼けした鳥の子紙や藁半紙が準備されている。動く人形たちをこれから作ります。絵屋のまわりも空き地が増えたし、サーカス小屋っぽくなりそうだねえ、との言葉に、またワクワク。
初日が待ち遠しい。(大倉 宏)
 

■イベント■ 金子眞由 瞽女唄公演 金子真由
■期 日   2003年10月31日(金) 午後7時〜8時30分
■演 目   「岩室門付け唄」
       「祭文松坂(段物)葛の葉子別れ」
       民謡 ほか 解説とともに進行します。
■会 場   新潟絵屋展示室
■入場料   600円
申込み不要・座布団持参でお気軽にお越しください。

 
絵 屋 と ぴ っ く す
渡辺参治米寿記念ライブ IN 絵屋
 「安田大学民謡古典芸能学科名誉教授」と言う凄い名刺をもっている渡辺参治さん、いよいよの絵屋ライブ登場であった。数え年88歳の米寿と言うが、その顔と禿頭部の色艶といい、声量といい、そんなお歳には見えない。とは言え、お一人で1時間半は負担だろうと参治さんを大先輩と尊敬する、瞽女唄の金子眞由さんにも友情出演を願った。いつものように格子戸を外し、行き交う人たちをも巻き込んでの仕掛けは功を奏して、気がつけばご近所のパジャマ姿や浴衣姿もあって、道路も完全に観客席と化して民謡酒場状態となる。上機嫌の参治さん、最後の「汽車」を歌い始めたものの、珍しく歌詞が出てこない。ところが観客のおば様方がしっかりと歌い繋いでくれて大いに盛り上がるというおまけがついた。(R)

   

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