2004年2月


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2004年2月2日〜2月12日
 

「pin」 2004年 銀、赤銅
 

阿部信子(あべ のぶこ)
■1966年新潟市生まれ。黒川興成・嶋田憲夫両氏よりジュエリー制作を学び、市川正美氏より伝統的彫金技法を学ぶ。97年から日本クラフト展、98年から日本ジュエリーアート展出展、01年Contemporary Japanese Jewellery出品(英国巡回)。02年新潟三越にて二人展開催。03年新潟市美術館市民講座「自分を飾る」で講師を務める。アトリエNOVI主宰。

阿部信子HP atelier NOVI
http://www22.ocn.ne.jp/~novi/

絵屋の展覧会では、身につけるものを、自分の思うように自由に作りたい。そう言っていた阿部さんの作品を見て、あ、と思った。
ふわふわしているようでシニカル。クールじゃないけど、甘くはない。ぶつぶつと小さな声でなにごとかつぶやきながら、こちらの様子をじっとうかがっている、えーとこれは、そうだ、ムーミンにでてくるにょろにょろに似ている……。……はて。これはジュエリーなんだろうか。
ジュエリーって、もっと声高に自分を主張するものではなかったかしら。そうでなければ、いっそ人の体に寄り添って静かに息をしているような。これは、そのどちらとも違う。我が道をゆくというか、なんというか。よくよく眺めていたら、だんだん阿部さん自身に重なって見えてきた。
阿部さんは焼干子の愛好者である。洗濯したての足ふきマットに嬉しそうにほおずりし、セールがあれば勇んで出かける。そういうたくましい日常を生きているのに、しかし本人にはあまり生活感がない。茫洋としているようで、ところどころ唐突。素直かと思うと、とことん頑固。
 金属はなかなか人の思い通りになりません。
 しかし、きちんと向き合えば従順です。
 私と似ていると思います。      ――阿部信子
なんだ、自分で書いているではないか。従順かどうかは別として。
彼女が生み出したものたちが、のびのびと絵屋の壁で呼吸して、思い思いにお喋りしてくれるといい。そして会場に足を運んでくださる皆さんには、実際に身につけてみていただきたい。ぼわ、とした生き物が、体に生えたような気分が、きっとすると思うので。 (上田浩子)


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2004年2月17日〜2月29日
 

栗田 宏(くりた ひろし)
■1952年白根市生まれ。白根市役所に勤務し、在職中より絵を描き始める。後、退職し絵に専念。「生成」「気」「密」などのテーマで制作を続ける。84・85年現代画廊、2000・2002年新潟絵屋で個展。ほか新発田、豊栄、新潟、名古屋、山口などで個展。89年「新潟の絵画100年展」(新潟市美術館)、2000年「見えない境界 変貌するアジアの美術 光州ビエンナーレ2000<アジアセクション>日本巡回新潟展」(新潟県民ギャラリー)に参加。2004年「新潟の作家100人」(県立万代島美術館)に参加。

←「聴く」 鉛筆、紙 872×572cm 2003年


栗田宏の絵は、強い印象のものから、静かな雰囲気のものまで、いろいろな表情がある。そのどれもが私を引きつける。一昨年の彼の個展で、作品を選ぶ時、飾る時、私は夢中になっていた。絵が心に入ってくる。私の中の何かと共振し、さまざまな波動を生み出す。その波動は、私を違う世界へ連れていくのだ。
その時の絵はほとんどが未発表の旧作だった。当時彼は自宅の庭に一人で築窯し、絵より焼物に熱中していた。
その陶器を見た時、私は驚いた。土の中から掘り出したのか、海の底から拾ってきたのか、火山の溶岩なのか。作意のなさが感じられ、迫力が漲っている。
今回の絵の中で、「聴く」(写真)には、強さ、畏怖、を感じるが、見つめていると、悲しさ、優しさ、親しみ、懐かしさ、など、たくさんの気持ちが湧いてくる。珠洲の風景を描いたものは、その儚い画面から、木々の間を吹き抜ける風の音が聞こえてくる。
栗田宏の絵は深い。耳をすませて、幽かな響きを感じる時、限りなく広がる世界が見えるだろう。それは、見る者の心の風景でもある。  (越野 泉)
 

絵 屋 と ぴ っ く す

第四銀行住吉町支店移築・復原
 絵屋のすぐ近くにあった第四銀行住吉町支店が、信濃川河畔に「移築・復原」され、完成報告会と見学会が1月10,11日に行われました。外壁の石はコンクリート躯体に接着させたモルタルを手作業で削って取り外し、内装の装飾漆喰はウレタンを吹き付け保護して切り取ったなど、工事の苦労や工夫が報告会では語られました。
 復原された銀行は向きが180度回転して南向きになったせいか、中が以前より明るく感じられます。鉄筋コンクリート建築のこうした「移築」は全国でもほとんど初めてとのこと。
 でも、建物が去ってがらんとした並木町の今を見ると、果たして「移築」が正解だったのか、疑問は残ります(壊れてなくなるよりは良かったですけど・・・)。慣れない川風に吹かれて建つ銀行の一階で、春のオープンに向けて、レストランの内装工事が始まります。どんな味の店ができるのかな。真由

 絵屋に何遍も来られた方は、もうすでにご存じのことと思いますが、絵屋ではスタッフと運営委員の面々が持ち回りで店番をしています。日・祝日は運営委員が担当することになっているので、日・祝日にだけ出向かれる方にとっては毎回顔ぶれが異なっていて最初は驚かれた方もおられることでしょう。
 通常画廊では、一人の画廊主(あるいは専任スタッフ)の人柄や人望で顧客と関係することが多いと思いますが、絵屋の場合は複数名(日替わり)で対応しているので、さらに面白い展開を見せているようです。そのことは絵屋に見えられる方々の世代の広さ、層の厚さ、関心事の横断的広がりなどにもうかがうことができます。
 こうした絵屋ならではの特色がマイナスに陥らないよう気を引き締めて、今年も皆さんをお迎えしたいと思っています。(小川) 


   

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