2004年1月


2003年12月の絵屋

2004年2月の絵屋

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2004年1月12日〜1月20日
 
西野一男 「コスモスと小柿」
水彩、紙 33.2×24.1cm
長谷川徹 「百合図」
水彩、紙 37.7×26.8cm
伊藤歌代子 「Anemone」
カラー 28×18cm

伊藤歌夜子(いとう かよこ)
■1950年新潟市生まれ。90年代中頃から独学で写真を始める。97年プロに転向。商業写真を撮りながら作品制作を続ける。2000年ケルヴィンギャラリーMired、02年新潟絵屋、03年北方文化博物館屋根裏ギャラリーで個展。新潟市在住。

西野一男(にしの かずお)
■1939年埼玉県入間市生まれ。66年高橋絵画研究所に入り油彩を学ぶ。78年アテネ画廊、80年現代画廊、83年ブロードウェイギャラリー、86・88・98・2000年画廊宮坂、96年ヤマハ家具吉祥寺ショップギャラリー、2000・01年新潟絵屋で個展。日本板画院同人。入間市在住。

長谷川 徹(はせがわ とおる)
■1948年新潟市生まれ。69年武蔵野美術大学中退。92・94年安井賞候補。96年感動創造美術展グランプリ受賞。個展多数。新潟市在住。
 

絵と花をセットで飾る風習が日本にはある。
もとは仏画に花を供えたことに始まるらしい。ブッダが乗り観音さまが手にするのは蓮の花。阿弥陀様のお迎えの絵ではその蓮の花びらが宙に舞う。蓮は古代インドでは生命の花だったそうだ。
絵が仏画でなくなっても床に軸(絵や書)を掛け、花を生ける風習が続いたのは、絵も花も、部屋(人が身をおく場所)に生命を与えるものであることを、日本人が経験で知っていたからだろう。
部屋に花を飾る(生ける)ことは今も続いているのに、なぜか絵を飾る習慣は衰えた。床の間が物置になっている家も多い。リビングルームの壁はまっさらで明るいが、ちょっと明るすぎると思うことも。
暗がりにはほんのり明るさを、明るい部屋にはしっとりと影を作ってくれるのが花であり、絵。花は自然の、絵は人の心というもうひとつの自然の命が形と色に変容したもの。
改まった(新しい命を吹き込まれた)年の画廊の壁を、絵屋で個展を開いた3人の花をモチーフにした絵と写真で飾る。
一服のお茶(コーヒー?)を啜りながら、場所の命(生き生きするということ)について考え、感じてみたい。 (大倉 宏)


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2004年1月22日〜1月30日
 

金子好和(かねこ よしかず)
■1956年上越市生まれ。20歳頃より写真を撮り始めたが、自分の求める被写体が見つからず中断。2000年に新潟市本町の「自由空間 蔵」で開催された「ひとます展」に出品した事をきっかけに、造形作家中矢澄子氏が主宰した「写真サロン」に参加。現在、高崎市に単身赴任中の会社員。

←「影のかたち」 カラー 全紙

もう何年も前、幕張メッセで開かれた展示会の帰り、メッセの近くの総ガラス張りのビルが夕陽を反射して紅く光っていた。夕闇の中に屹立する、四角い火柱のような、あるいは紅い墓石のような非現実的な妖しい美しさに惹かれた。以来、きれいな花や、きれいな景色なぞ撮りたいとは思わなくなった。
毎日の通勤道路や買い物の帰り道、目に飛び込んでくる光と影の対比を撮り続けている。見慣れたはずの街並みの中に、時に一瞬だけ見える影の形、それは二度と見る事のできない人工の中の自然の造形である。
どれほど抽象的であっても、写真は被写体がなければ写せない。その意味では写真はどこまでも具象である。私の写真は私の感性のフィルターを通った、具象の中の抽象、日常の中の非日常である。(金子好和)

金子さんは自身の「抽象表現」に、あえてプリンター(現像技術者)を介した仕上げに臨む。自らのイメージを最大限表現できるよう、プリンターとのコミニュケーションを繰り返し繰り返しおこなっていると聞き、コンピューター加工ではない人間の持つ力の可能性にも臨んでいるのだなあと思うと同時に、個展といっても決して一人では出来ない「個展という名の共同作業」なんですという金子さんの言葉が思い出された。(伊藤純一)
 


 
絵 屋 と ぴ っ く す
三芳悌吉展
 11月に絵屋で開催された「堀と水辺の記憶――三芳悌吉『砂丘物語』から」展(主催・堀割再生プロジェクト実行委員会)は連日百人近い観覧者が訪れ、盛況でした。絵に描かれた下町に住む方や、下で育った方が会場で出会い「なつかしい」とひとしきり昔話にふける場面も。「町並みの変化におどろくやら、がっかりするやらの日々ですが、三芳さんの書き残して下さったものの価値が胸に痛いです」「新潟の心のよりどころはやっぱり堀でしょうか。再生への活動も活発なようです。堀がよみがえった新潟を死に場所にしたいと思います」(会場の感想ノートから)。未刊の『砂丘物語』第3巻の刊行を期待する声も聞かれました。真由
大倉宏の評論集『東京ノイズ』刊行
 絵屋関係者の本の刊行が相次いでいますが、運営委員代表大倉宏の初めての評論集『東京ノイズ』(アートヴィレッジ 刊/定価¥1500・税別)が、2003年のクリスマス(12月25日)に刊行されました。表題作の他、高橋由一、西脇順三郎、洲之内徹、牛腸茂雄、佐藤真等について書かれた、美術の範疇を超えた異色の評論集。新潟絵屋、書店で販売。下記にファックスまたはメールでお申し込みいただければ、直接お送りします(送料別途)。
FAX.025-260-4342(大倉)
E-mail h-ookura@agate.plala.or.jp

 「あけましておめでとうございます」という言葉は、1年にいっぺん口にするおまじないのような気がします。今日は昨日の続きで、明日は今日の続き。そんなふうにうかうかと過ごしている毎日のなかで、ひょっこり立ち止まってあたりを眺める、区切りのおまじない。
 絵屋は、4回目の新年をむかえます。きっとまたいろいろなことがあり、いろいろな出会いがあり、でもそれは、ほんとうはどれもみな二度とはないことごと。今年は少し長めの正月休みをいただきますが、その間に、小さくおまじないをとなえながら絵屋のこれまでとこれからに思いをめぐらせてみましょうか。
 新しい年、すべての人にたくさんの幸せがありますように。
 絵屋が、シアワセな場所であれますように。
 2004年もよろしくお願いいたします。


   

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