2004年3月 | |
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2004年3月2日〜3月10日 |
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斎藤順正(さいとう じゅんせい) ←「窓」 2002年 水彩、ガッシュ、紙 27.7×25.6cm |
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斎藤順正さんは、冬の絵がいい。 巻町のアトリエに最初に訪ねて絵を見た時、そう思った。斎藤さんは春も夏も秋も、静物も人も猫も描く。素晴らしいソムリエのように、絵を味わう人にいきとどいた心遣いのできる、プロフェッショナルな画家だ。 冬の絵には、でもそのソムリエが、誰もいない部屋でグラスに注ぐワインの香りがある。 雪を、窓のへり、小屋の樋にうっすらと、深々と積もった雪を見る。風が埃のように雪片を掃いていく。一瞬、冷え枯れたけやきの小枝のように細まっていく心。ひとりでいることの寒さ、つらさを、その芯をつきあげてくる弱音のよろこび。 斎藤さんに、冬の始まりから終わりまで、描いて下さいとお願いした。(大倉 宏) |
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2004年3月12日〜3月20日 |
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「ぴちん!」水彩、画用紙 42×59.6cm 2002年 |
鈴木翁二(すずき おうじ)
■1949年愛知県生まれ。少年時より漫画に傾倒、また、映画や模型工作、水泳を好む。69年『庄助あたりで』(ガロ)でデビュー後、水木しげる氏のアシスタントを勤める。透明で幻想的な作風は他を啓発し、古川益三、安部慎一らとともに「ガロ」のトリオと呼ばれ、一時代を築いた。絵本に『ボタン』(リブロポート)、『少年あります。鈴木童話店』(シマモトケイインナープロジェクト)、漫画に『海的煌煌』『こくう物語』(青林工藝社)、『オートバイ少女』(筑摩書房)、『透明通信』(青林堂)など。他、あがた森魚のジャケットや、コンサートの舞台デザインを手がけるなど、多方面で活躍。北海道浦河町在住。 |
鈴木翁二さんにはじめて電話したとき、その声が若々しいのに少し驚いてしまった。 翁二さんといえば、つげ義春と並んで「ガロ」を代表する、知る人ぞ知る異色のマンガ家。哀愁を帯びた甘美でノスタルジックな作品世界は深く心にしみこむ。それだからといって、もっと年配の方を想定してしまっていた自分のアタマの短絡さを深く反省。翁二さん、すみません。 今回はライヴ演奏に短編映画まで披露して下さるという。印刷では伝わってこないライヴな画を、単なる懐古調ではくくり切れない翁二さんの猥雑さとリリシズム、哀感とペーソス溢れる世界をライヴな音と共に味わって欲しい。(田代早苗) |
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2004年3月22日〜3月30日
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書「面(おもて)」・ 篆刻「鳥」 |
華雪(かせつ) ■1975年京都府生まれ。幼少より書と篆刻に親しむ。立命館大学で心理学を専攻。日本書展等に出品後、92年よりギャラリーアンフェール(京都)、hokari fineart gallery(東京)、graf gm(大阪)等での個展を主に発表。97、98年フランス・トゥールーズで書のライブパフォーマンスを行う。著書(作品集)に『静物画−篆刻ノート』『石の遊び』(平凡社)ほか。現在、京都精華大学公開講座GARDENにて「文字表現講座」講師を勤める。京都市在住。 華雪さんのHP |
痛いほどに張りつめた緊張と、心がほどかれてゆくよろこび。いいかえると、清々しいほどの真剣さと、遊びの楽しさ。華雪の書、彼女の言葉でいうなら「書字」は二つの表情を持っている。 時には遠い窓からのまなざしのような、また時には星のつぶやきのようでもある篆刻。 あるいは、ゆらめく光そのものであるような、さまざまな「風」。彼女の作品を見ながら、少女の無心だろうか、と思う。だから、物語をあふれださせずにはいられないのだろうか、と。 鳥がはこぶ文字。文字がうけとめている魂−−。絵屋の柔らかな光と奥行のなかで、華雪の書は、私達の今まで知らなかったどんな響きを聞かせてくれるのだろうか。楽しみである。 (吉田加南子) ※22日(月)午後5時、華雪さんが会場にて書のライブパフォーマンスを行います。 |
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N E W S
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企画委員・スタッフの越野泉さんが1月から絵屋の運営委員になりました。これにより、現在の絵屋運営委員は代表の大倉宏をはじめとした10名、企画委員2名、スタッフ1名という体制になりました。
運営委員 ■ 大倉宏(美術評論家・代表)・伊藤純一(建築家)・伊藤信行(家具作家)・上田浩子?ザイナー)・小川弘幸(文化現場主宰)・小船井秀一(雑誌編集人)・越野泉・田代早苗(俳人)・旗野秀人(建築業)・村井勇(写真家) |
3 月 の 絵 屋 は、イ ベ ン ト 花 盛 り!
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