2004年10月


2004年9月の絵屋

2004年11月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  


 
2004年10月2日〜10月10日

菅野くに子(かんの くにこ)
■東京生まれ。武蔵野美術大学油画科卒業後、リトグラフ、エッチングの制作を続ける。1998年より手漉き和紙による制作を始める。2001年ガレリアグラフィカ(東京)、2002年新潟絵屋で個展。新潟デザイン専門学校講師。

←「いい夢みた日」2004年 
 ミクストメディア、和紙 46.4×60cm

6年ほど前から、菅野さんは自作の手漉き和紙に描くことに夢中になってきた。絵がはみ出すと、そこにまた紙を継ぎ足したりできる。そんな自由さが、版画を長年続けてきた菅野さんを、喜ばせるらしい。
今回はその和紙が、2年前の発表時に増して、壁に似てきた。それも木や土の日本の壁ではなく、ラテンの国あたりの、石灰を塗った、石積みの壁。
菅野さんの暮らす新発田の町に隣り合うらしい、イメージの中の南の街。そこの住人である、愛らしい、はにかみやだったヒトたちも、幼さを残しながら、少し大人になって、歌や踊りや酒の味を覚え、恋人もでき、街のあちこちで、にぎやかな祭りの宵のひと時を楽しんでいるよう。
陽が注ぎ、厳しい雨が降り、舗石も、窓も、生き生きと時を刻む。そんな街のカーニバルの夜に、人々は息をはずませている。  (大倉 宏)

 


  
2004年10月12日〜10月20日
田村あや(たむら あや)
■長岡市生まれ。文化学院デザイン科修了後、本や新聞広告等のイラストレーションの仕事を行う。94年から個展により絵画を発表。川崎、新潟(ギャラリー沙衣、新潟三越、相澤美術館、新潟大和、長岡大和ほか)、横浜、東京(ギャラリー銀座、ギャラリーむうなど)で個展。

←「C-0401」 2004年
  水彩紙のコラージュ、水彩 20×14.5cm

初めて田村あやさんの絵を見たのは、確か寺泊の相澤美術館でだった。
分かりやすいほどにきれいな、花の水彩画。でも見ていると、そう言うだけでは済まないものの気配がある。それは西洋紙や水絵具という素材への「偏愛」の匂いであり、それが不思議に目にしみ、心に残った。
その田村さんにお会いして何度目か、「花ではない絵で、抽象で、個展をしてみませんか」とふと言ってしまったのも、そんな記憶の作用だったかも知れない。すると思いがけず、承諾の返事をいただいた。2年ほど前のこと。
明るい夏の朝、田村さんの仕事場をお訪ねした。一晩水に浸した水彩紙をちぎってコラージュした紙に、描かれた作品。予期したイメージを巧みに裏切って、田村さんは田村さんの抽象画を発見していた。花の絵のエッセンスが、やわらかい凹凸を刻む紙のレリーフに、光のように揺れている。(大倉宏)
   
  
2004年10月22日〜10月30日
坂爪勝幸(さかづめ かつゆき)
■1947年村上市生まれ。九州の各窯業地で陶芸の基礎を修得後、韓国で古窯を調査、登り窯の築窯技術を習得。79〜85年米国ニュージャージー州芸術教育センターで陶芸指導を行う。アメリカ各地で作品展を開催。86年帰国、中条町に築窯。90年日本現代陶芸展で優秀賞。93〜95年東京、ニューヨークで個展。新潟では創庫美術館、新潟県民ギャラリー、万代島美術館、越後妻有アートトリエンナーレ2000等で発表。
 

←「作品」モノプリント 
  1981年 76.5×56.8cm

今回初めて発表される、坂爪勝幸さんのモノプリント(一点ものの版画)は、20余年前に制作された。陶芸の技術指導のため赴いたアメリカで、坂爪さんは戦後を代表するクレイアーチスト、ピーター・ヴォーコスと交流を持つ。そのスタジオに素晴らしいモノプリント用プレス機があった。日本の陶芸家がどんな絵を描くのか。スタジオ仲間の注視の中で始まった制作は、失敗を繰り返し、色をふりおとし、モノクロームへ向かっていった。これらのプリントが最後に誕生した時、そばにいたのは、もう機械のエンジニアだけだったという。
大平原の闇のような紙の底を、閃光のように駆け抜けたもの。孤独な場所での、一度きりの出会い。自国の伝統を深く呼吸した日本人が、戦後のアメリカという、途方もない烈風に触れた時、突然内部に発見した美しい裂け目の光景を、プレス機は見事に捕獲していた。 (大倉 宏)

坂爪勝幸展は絵屋と画廊Full Moon(新潟市東堀通4-453 tel.025-229-6792)の2会場で開催・
information 作家講演
坂爪 勝幸 「日本・やきもの・アメリカ」
10月22日(金)18:30〜20:00  会場:画廊Full Moon  \1,000
聞き手:大倉 宏 (新潟絵屋代表・美術評論家)
予約・問い合わせ:画廊Full Moon tel.025-229-6792
 
 
特 集 ・ 絵 屋 へ 至 る 道
「絵屋への道が分かりにくく、たどりつけなかった」という投書を会員の方からいただきました。見やすい看板と、要所に案内標識を設置してほしいとの要望です。早急の対策として、「絵屋」と書いた拝み看板を出すことにしました。また絵屋へ至る道を、緊急特集します。
■ 新潟市美術館前の道をまっすぐ
絵屋と新潟市美術館は一本の道で結ばれています。迷わず絵屋に来るなら(特に車の場合)まず新潟市美術館へ行き、古町方向にまっすぐどこまでも一本道(広小路という道です)を直進していくと絵屋の前に出ます。美術館からだと7つ目の信号を越えた100メートルくらい先の右側が絵屋。6つ目の信号から道が細くなりますが、迷わず直進してください。
■ 「こんぴら通り」で聞く
お店等で聞いて絵屋が分からないと言われたら「こんぴら通り」を聞いてください。こんぴら通りを、神社を左手に見て直進、最初の信号を右折した100メートルほど先に絵屋があります。
柳都大橋からすぐ
柳都大橋を渡って来られる方は、橋を下りた信号を左折し、すぐ次の信号を右折してください(細い道です)。そのつき当たりのT字路を右折すると2、30メートルほど行った右手が絵屋です。
■ フェンスを目印に
絵屋周辺や広小路は道路拡張計画の用地買収が進み、緑のフェンスで囲まれた空き地が増えています。フェンスを辿って行くのも迷わないこつ。
■ 観光循環バスを利用する
この4月から運行している「観光循環バス」を利用すると、簡単に絵屋につきます。新潟駅から朱鷺メッセ先回り便(犬夜叉号)に乗って「広小路」で下車。下りた道を戻る方向にずっとまっすぐ歩くと絵屋です。バスは9:30から16:30まで毎時30分に新潟駅から出ています(大人180円)。
迷われた方もぜひ再トライしてください。
 
広小路を直進した正面の景色(絵屋は右手にあります)。対岸の万代島ビルが奥に見えます

新潟市美術館前の道
(広小路)をまっすぐ
フェンスを目印に


 

去年までは「来る度に周りの景色が変わるね」と言われた絵屋界隈も、空き地ばかりになった今は動きがなくひっそりとしています。日中は人通りの少ない一画ですが、夕方になると犬を連れて散歩をする人がたくさん行き交います。展示室のガラス戸越しに見るドッグショー。私の大好きなひとときです。(C)


   

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