2004年11月


2004年10月の絵屋

2004年12月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  


 
2004年11月2日〜11月10日

松川孝子(まつかわ たかこ)
■1945年新潟市生まれ。日本女子大国文科卒。73年渡仏。75年よりウィーンに在住。国立ウィーン応用美術大学卒。オーストリア芸術家協会会員。94年以降ウィーン、東京、大阪で個展。ヨーロッパ各地の展覧会に出品。アルベルティーナ美術館(ウィーン)、グラフィック美術館(ノルウェー)、Petit Format 美術館(ベルギー)ほかに作品収蔵。新潟では95、2001年(大和アートサロン)に続く3回目の発表。

←「森で」ミクストメディア、和紙 50×80cm 2004年

ウィーンで制作を続ける松川さんは和紙、それも今は鹿児島県蒲生郡の紙を日本から取り寄せて描くという。1年前、新潟でお会いした時はわけを聞きそびれたが、その絵はどこか日本画の匂い、それも戦後の、新潟の画家で言うなら、横山操とか小島丹漾などの剛穀な作風の遺伝子を感じさせる。
ただ横山や小島にまだ色濃く潜んでいた、油絵=西洋画への対抗というような「日本」画特有の国家意識のようなものが、松川さんの絵にはない。そのことが、ウィーンで、松川さんが長く描いてきた意味なのだろうかと思ってみる。
「森で」と題された絵を見ていると、日本の山とは違う森の光や風、空間を強く感じるのだが、それらを私に伝える声に、思いがけない親しさがある。大きすぎず、小さすぎない、等身大の日本人の体に乗せられて、オーストリアという異空間がすっぽり私に入り込んでくるよう。とても鮮烈な心地。(大倉 宏)

 


  
2004年11月12日〜11月20日
井田英夫(いだ ひでお)
■1975年新津市生まれ。97年新潟デザイン専門学校卒。1999年モンセラート美術大学(アメリカ、マサチューセッツ州)卒業。ミンゴーギャラリー(マサチューセッツ州)で二人展。02年3月新潟絵屋で個展。

←「新津風景」オイルバー、キャンバス
  72.5×59.2cm  2004年

前回の絵屋での個展は、20代前半に井田君がアメリカで描いた絵で構成した。帰国後に描いた日本の風景も見せてもらったのだが、アメリカで彼がつかんだ色彩、空間感覚と、日本のそれがどこかまだかみ合っていない気がした。
あれから2年、新潟の下町の海岸べりに移って来て、井田君は一人で絵を描き続けている。新潟の海岸や砂丘からの眺め、実家のある新津近辺の森や住宅地の光景。新潟の日常の、そうわくわくもしない時間のなかで視界をよぎっていくような一画を切り取り、オイルバーをキャンバスにすりつけて絵にしていく。アメリカの粗い光、大きな空間が、新潟という異質の場所に入り込もうとして、身をもがく。その仕草がそのままで、けれど、どこか風景の新しいリアリティーになりかかっている気配を感じる。この若い才能を今回も、多くの人に見てもらいたいと思う。 (大倉宏)
   
  
2004年11月22日〜11月30日
涌井みゆき(わくい みゆき)
■1956年東京生まれ。79年武蔵野美術大学卒。88〜92年文化学院アート&クラフトで組み、結び、ルーピング、スプラングなど技術を学ぶ。99〜2002年東京テキスタイル研究所で学ぶ。89年「織・布・糸の造形展」(東京高島屋)、02年「空間の中のファイバーアート」(東京JIAアーキテクツ・ミュージアム)に出品。00〜02年レストラン奈良(福島・郡山)で個展。

 

←「陽樹」塩化ビニール、麻糸、原毛、毛糸、
     ビーズ、紙粘土  2004年

ファイバーという素材で空間を表現する涌井さん。ファイバーを素材とし物を作りそこから作品に展開するのは考えられるが、ファイバーそのもので表現することは考えても見なかった。そんな涌井ワールドが絵屋で展開されるのを楽しみにしている。(伊藤純一)

初めての個展を新潟絵屋の空間で自由に自己表現できる事が嬉しく、また緊張してます。
今回は自然をテーマに現在住んでいる上越の風景、高田公園周辺、お堀の水辺、植物、太陽、自然を感じ、見つめ、想像して作品を創ってます。……色々な太陽が顔を出して、みんなが元気になるかなあーと思いながら……。
平面的表現と立体(ファイバー)の融合、間と間のつながりが絵屋の空間でどうなるか楽しみです。
新潟でこれからずっと生活する第一歩になれたらと思います。
                           (涌井みゆき)

 
 
I n f o r m a t i o n 1
●昭和10年代 庶民の町・新潟を描く
佐藤清三郎遺作展
●2004年11月3日(水・文化の日)〜28日(日)
 10:00〜16:00(月曜休館)
●会場 旧日本銀行新潟支店長宅
    新潟市西大畑町5218−1  tel.025-222-2676
●入場無料
※会場には駐車場がありません。公共交通機関をご利用ください。
主催:新潟絵屋・新潟市(問い合わせ:新潟絵屋)
協力:新潟まち遺産の会・堀割再生物語実行委員会
 2000年5月の絵屋の開廊記念展として開催し、好評だった展覧会。会場は清三郎の生きた昭和初期竣工の歴史的建造物。新潟市との初の共催展覧会です。11月13日(土)には会場で大倉宏(新潟絵屋運営委員代表)の講演会「佐藤清三郎と三芳悌吉」が行われます(14:00〜15:30/入場無料・定員先着50名・新潟絵屋 tel.025-222-6888に電話でお申込下さい)。

http://niigata-eya.jp/eya02/satou.htm


同時期開催
『三芳悌吉絵本原画展 新潟の原風景をさぐる』
●2004年11月6日(土)〜11月15日(日)
●会場 みなとぴあ新潟市歴史博物館 旧第四銀行住吉町支店
主催:堀割再生物語実行委員会・新潟市
 絵本『ある池のものがたり』と『砂丘物語』の原画を展示。初日には解説会と『砂丘物語』の編集者和田信裕さんと大倉宏との対談が行われます。三芳悌吉展についてのお問い合せは新潟市街づくり推進課 tel.025−228-1000(代)へどうぞ。

I n f o r m a t i o n 2
大地の芸術祭 勝手ファンクラブ 作品鑑賞ツアーのご案内
3年に一度開かれる「大地の芸術祭」。第2回は昨年開催され、第1回目のものとあわせた数多くの作品が、その場で時を過ごし、風化し趣をかえ、絶えず変化しながら大地とともに在ります。大地の芸術祭の真骨頂ともいえるこの作品群を、芸術祭参加美術家・前山忠さんとともに鑑賞していきます。秋の妻有の山野を、一緒に歩きませんか。
●2004年11月7日(日) 
●参加費は実費負担のみ
お申し込み・お問い合せ:鳥の歌 tel.025-228-3080(18:00〜23:00まで)

●『月刊ギャラリー』(ギャラリーステーション)9月号・10月号に、アートNPOの代表山下透さんと大倉宏(新潟絵屋代表)の対談「市民派コレクター時代の夜明け」が掲載されています。http://www.g-station.co.jp/HTML/mgallery/index.html から購入できます。

●休刊していた「風だるま」(絵屋運営委員・小川弘幸編集)がリニューアルして刊行開始。お問い合せは文化現場(025-270-0544)へ。
■新潟に住む心地・47 「新潟」はどこにあったのか(6)大倉宏 ■映画ノート・25 これからはテレビを見よう 佐藤真 ■美術館狂詩曲 ゲルベソルテ金森 ■新・にいがた水紀行・14 五泉の「水」は面白い 小船井秀一 ■書評 鈴木良一詩集「不思議荘のゆりかご、あるいは写植オペレーターの探字記」 田代早苗 ■書評 「窓の外は青」を読んで 高橋美香 ■宴〜新潟の若手ミュージシャン見本市 福原斉 ■路地カル・ミステリ・ツアー 堀川久子と行く下町の旅 瀧澤ナオト ■起承転転 その十一 ひとりということ 上田浩子 ■12+12=24 間章 本間亮

日の入りが早くなりました。絵屋の界隈は商店も少なく空き地に囲まれているせいか、毎日、自然の時刻通りに静かな夕闇に包まれます。格子戸からもれる絵屋の明かりが暖かく感じられるこの季節、ホットコーヒーはいかがですか。 (小川)


   

2004年10月の絵屋

2004年12月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog