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2005年1月12日〜1月20日 企画 川瀬裕子

「失われた日」 40号 カゼイン、ガッシュ、テンペラ、キャンバス

西村冨彌(にしむら とみや)
■1946年佐賀県生まれ。東京藝術大学大学院終了後、渡欧。1975年から78年までスペインに留学。1980年、90年代は東京のストライプハウス美術館、ミズマアートギャラリーなどで個展を開くほか、アメリカ、ドイツ、ベルギーのグループ展に出品。さらに2003年にはアメリカ、フィラデルフィアで個展を開き、今後も定期的に海外での個展開催を目指している。作家活動に加え、1999年には東京銀座に「ニッチ・ギャラリー」を開廊。画廊ディレクターとして国内外の現代アートを積極的に紹介している。

佐賀県に生まれた西村冨彌の生家は家の中でキャッチボールができるほど大きな屋敷だったと言う。幼い西村はその屋敷の奥深く薄暗い一間で座敷童(わらし)を何度も見たと言う。そして今、彼はアトリエの窓辺にひっそりとたたずむ、背中に大きな羽を持つ人形(ひとがた)を確かに目にし、それをキャンバスに描き出す。人に尋ねられて彼は答える。想像で描いたのではない、確かに居たのだからと。
あたかも毎日の慌しい生活とのバランスを取るように、彼の目は外を見ることを止め、自らの脳の中をのぞく、そこで見たものを記憶した彼の目は、再び外を見、そこに脳の中の記憶を映し出す。その視線の向こうにあるのは、描かれたまなざし。
私たちをのぞきこむまなざし。私の脳を通り過ぎて。(川瀬裕子)

図版で見ていた時は気づかなかったのだが、西村さんの絵は、キャンバスの所々に穴があいている。西村さんの描く外国の街らしい場所、佇む人々。それらは画家の体験の何かの反映なのか。分からないが、見る私をどこか映画の記憶ような、ノスタルジーと憧れのない交ぜになったような気分に誘う。このタッチのこのイメージの絵に、そんな気持ちになる自分に、穴はふと気づかせる。どきっ。この“どきっ”が、いいなあ。 (大倉宏)

 


  
2005年1月22日〜1月30日
企画 伊藤純一
内田美代子(うちだ みよこ)
■神戸市生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵科卒。在学中フランス、ブザンソンのエコール・デ・ボザールにて人体をテーマとして油彩を学ぶ。1991年〜93年TEAFOLLIES(パリ)・ギャラリー砂翁(東京)・CHRISTIAN ALEXANDRE(ターンレイ)・エスパスLE MANS ASSURANCE(ブリュッセル)他各地で個展、1996年〜99年MUSEUMNATIONAL D'HISTOIRE NATURELLEに出展他、パリを中心に個展。2001年弥彦に移り住み自然の中で創作活動を続け、ギャラリー陌(岩室)ギャラリー砂翁(東京)等、地元と東京を中心に個展。今回新潟市で初めての個展となる。

←「早春の天使たち」 1999年 48×38cm
  岩絵の具、アクリル、紙等、コラージュ

縁もゆかりもない地、弥彦に移り住んで3年になる内田さん。アトリエにおじゃましてお話しを伺っているうち、その場所を求め数年探しまわった意味が私にも伝わってきた。十年来行き来し丸三年住んでいたパリで、内田さんを惹きつけてやまなかったのは市場だったそうで、そこに列んでいる産物のルーツを訪ねる事が好きだったという。自然多き場所で食材を作りながら創作活動に励む、日本の地方にもそういった場所があるのでは、と探し移り住んだアトリエの視界に広がる弥彦山の自然。好きな食材を自ら作り、また大好きな朝市に通いながらそこで創作活動を続ける。今回、現アトリエでの創作活動の原点とも言えるパリと新潟の「市場」をテーマに、食材を表現したパステル画等二十余点が絵屋の空間を飾る。「野菜の絵」といえば静物画というカテゴリーになるのかも知れないが、表現されている食材はむしろ「生きている躍動感」が伝わる、けっして「静」とは表現したくない物たちばかり。「静」と「動」共に感じるそれら作品は「命を謳歌する風物を追い続けている」という内田さん本人そのものなのかも知れない。(伊藤純一)
   
 
絵 屋 と ぴ っ く す

旧日本銀行新潟支店長宅での「佐藤清三郎展」
 11月3日から28日まで、新潟市西大畑町の旧日本銀行新潟支店長宅で佐藤清三郎の遺作展が開かれました。新潟市と新潟絵屋との初の共催展。13日の大倉宏(新潟絵屋運営委員代表)の講演には定員を超える約70人が集まり、座敷、居間、茶の間3室はぎっしり。最後に清三郎の遺児小沢清子さんがご挨拶「父は一銀行員でしたから、日銀の支店長さんのお宅に自分の絵が飾られているのを見たら驚くかも知れません」との言葉に場がなごむ場面も。「家が喜んでいるみたい」と会場管理の方々にも喜んでいただけました。会期中、658人の人がが訪れたとのこと。

新潟絵屋「特定非営利活動(NPO)法人」に認証申請

 多くの方の支援をいただいて新潟絵屋がオープンして4年半。当初から「非営利」の画廊として活動を続けてきましたが、このたび(11月30日)名実共にNPO画廊となるべく新潟県にNPO法人設立認証を申請し、書類が受理されました。NPOはNon-Profit Organization(非営利組織)の略。非営利組織とは営利活動を行わないのではなく、営利を目的とせず、得た利益を構成員に分配するのではなく活動資金に用いる組織を言います。すでに絵屋は実質NPOですが、認証を得られると、法律的に人格(法人格)のある組織となり、行政のからの仕事などを受託できるなど、活動の幅を広げていくことができます。今回の佐藤清三郎展のような、行政等と協力した活動、催しがより容易に行えるようになるメリットがあることから、認証申請を行うことにしたものです。12月1日から2ヶ月が定款ほか申請書類の一部が縦覧(県庁や地方事務所で要請のあった場合に公開)されています。縦覧後2ヶ月以内に認証・不認証が決定されます。春には「法人」としての絵屋がスタートできるかも知れません。

 
I n f o r m a t i o n
2003年9月から毎週水曜日にスタッフを務めた小川弘幸運営委員が、本業(絵屋より一歩先にNPO法人となった「文化現場」)の仕事に専念するため、仕事は11月いっぱいとなりました。1年2ヶ月ありがとうございました。
 

展覧会の会期中、作家が在廊している時とそうでない時とがあります。作家と親しく会話できるのも画廊ならではの楽しみの一つです。そのことは私たちスタッフにとってもいえることで、来場者を待つ間、作家と様々な話題で盛り上がることもあります。作家の在廊予定などもお気軽にスタッフまでお問合せ下さい。(小川) 


   

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