2005年3月


2005年2月の絵屋

2005年4月の絵屋

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2005年3月2日〜3月10日 企画 アートNPO推進ネットワーク

渡邉早苗(わたなべ さなえ)
■1972年愛知県生まれ。栃木県、宮城県にて育つ。96年愛知県立芸術大学美術学部油画専攻卒業。98年同大学大学院美術研究科油画専攻修了。95年より名古屋、東京、大阪、神戸、ダッカ(バングラデシュ)などで個展。グループ展多数。97、98年第1、2回熊谷守一大賞展佳作入選。99年同第3回展で大賞受賞。パブリックコレクション 熊谷守一記念館/日本大学法学部図書館。

 

「どこまでも」ミクストメディア
  25×17cm 2004年

オープニング・パーテイの酒で火照った顔を冷ますべく銀座の街をほっつき歩いているうちに、とあるビルの1階にあったミニポスターの絵に誘われて、そのビルの6階まで吸われるように上がってしまった。偶然といえば偶然だ。そこには今まで出会ったこともない赤と紺の美しい絵があった。それが渡邉早苗さんの絵との最初の出会い(1999年)である。
ワインのように、よく熟成されたような彼女の赤からは女性ならではの包み込むような温かさが、そしてその紺色からは彼女の祈るような一途な思いが、まさに醸し出される様に伝わってきた。今般、「平和」だとか「祈り」だとか尤もらしいタイトルの絵に出くわすことも多々あるが、その絵からは何故か白々しい概念的な感覚しか伝わってこないのは如何した訳だろう。おそらく、その色彩に込める思いの丈が違うのである。彼女の絵には「祈り」といわずも祈りが感じられたのである。女性ならではの色彩―と比喩するのは些か平板すぎよう。私は母性の色彩とでも喩えてみたい。   御子柴 大三(アートNPO推進ネットワーク)

 


 
2005年3月12日〜3月20日
企画 大倉宏

「本所付近」1970年 コンテ、紙

野中光正(のなか みつまさ)
■1949年東京・鳥越生まれ。67年木版画・絵画をはじめる。68〜71年太平洋美術研究所、73〜82年渋谷洋画人体研究所で描く。77年横浜国際船客ターミナルでの初個展後、89年までゆーじん画廊(東京)等で個展。89年新潟県高柳町に移住、紙漉を学ぶ。91年かやぶきの家(高柳町)で個展、同年10月末に東京に戻る。以後ほぼ毎年ゆーじん画廊で個展。95年ウィリアムモリスギャラリーで木版画展。01年新潟絵屋で個展。

同時期開催 野中光正展 油彩・木版
3月9日(水)〜20(日)
画廊 Full Moon
35年前の夏、東京隅田川に近い工場で働いていた野中さんは、仕事が退けるとスケッチブックとコンテを持ち、周辺の墨田区、江東区の町工場の密集する地区を歩き回り、目にする風景を毎日のように描いた。鋸屋根の工場、材木を浮かべた川、下見板に隙間の開いたセメント瓦の民家、建設中の高速道路。それだけで終わった夏。昭和10年代の新潟を描いた佐藤清三郎の素描のように、見えるものをただひたむきに見つめた画面から、生活と仕事場がまだ入り交じっていた時期の町の匂いが、夏の光と温度とともに、思いがけないくらい直に伝わってくる。
その直後から、野中さんの絵は見えるもののなかに揺曳する気分の光と影を追って線へ、陰影へと抽象化され、十数年の試行錯誤を抜けて今回画廊Full Moonに並べるシンプルな色面へと移っていった。外へ向いた目を、それはゆっくり内に返していく作業であったように見える。野中さんの一見モダンな絵に漂う和の匂い。その和の鮮やかな実像を、近作とともに見ていただきたい。(大倉宏)

 


 
2005年3月22日〜3月30日 企画 越野泉

チャック(藤井芳則)
■1962年新潟市生まれ。87年頃から新潟市を中心に飲食店・ブティック・アミューズメントなどの壁画、オブジェの制作を手がける。2000年よりLREXに参加し、作品の発表を続ける。2002年7月チャメ(小川定信)との二人展を新潟絵屋で開催。

 

「未来」 ウレタンアクリル、MDF
  90×30cm 2005年 

チャックさんこと、藤井芳則氏は絵の職人だ。
ルネサンス風の夢見る天井画からポップな人物画、静物画、そして横尾忠則ばりの猥雑な力に溢れたものまで。新潟の各種店舗の壁にはチャックさんの描いた絵がいっぱい。チャック・マップを作ろうという話もある。
お店の壁画を見ても、知らない人はチャックさんが描いたとは気づかない。サインもなく、施主の依頼に応じて千変万化の仕事ぶり。
ではチャックさんが仕事を離れて描く絵はいったいどんなもの?というと、これがまたいろいろで、クラシックなところではオリジナルキャラクターのプリンちゃん、アイスちゃん、ヘッド・ブー。近頃は和ものや侍シリーズ等。絵だけではなく、シャワー付きソファー という実用的(?)なオブジェもある。そんな何が出てくるかわからないところが私は気に入っている。確かな技量に裏打ちされた作品は、エネルギッシュなものであってもどことなく品があり、オトナの感性が際立つ。
今回の展覧会は何でもありのチャック・バザールなのだが、本人はもっと過激に「チャック・全開!」で行きたいとのこと。微妙なタイトルですが、それではすべて見せてもらいましょう。(越野泉)

 

 

絵の角度

 見上げずに眺められる高さに絵を掛ける場合、絵が傾いていると画面が見にくくなります。壁に釘を打って掛ける場合は、紐をきつく締め直すとまっすぐになります。釘の打てない日本壁などで、長押や鴨居などに釘を打つか、金具を取り付けて、掛け軸風に絵が「吊して」飾られているのを見かけますが、掛け軸のように額の上端に紐がついていないため、額が傾いてしまっています(図1)。その場合は紐をきつく締め、釘や金具から展示用ワイヤー(画材店に売っています)で下げることをお勧めします。高さが自由に調節できるのが利点。また木枠の額の場合には、上縁の裏側中央に画鋲等をさし、画鋲の押さえ部分と木枠の間にワイヤーを挟むと傾きが抑えられます(図2)。
 額装された絵は、できれば壁に直に釘かフックを打った方がきれいです。最近多い石膏ボードが使われた壁の場合、釘の強度が心配になるところですが、石膏ボード専用のフックも売られていますので、試してみてはいかがでしょう。フックは画材店で入手できます。(O)


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 NPO画廊は、絵を販売しない画廊ということではありません。「売り絵」という言葉は、多数の好みにおもねた質の低い絵という意味に使われることが多いのですが、NPO画廊はそのような「売り絵」ではない絵、画家の個性が十二分に発揮された、という意味で質の高い絵を、売る・買うという直接的な形で鑑賞者につなげることを重要な役割の一つとして持っています。その意味では個人経営の個性的な画廊も同じ。ただそのような質の高い絵は、必ずしもよく売れる絵ではないため、一般の画廊はその役割にどこまでも忠実であろうとすると経営が難しいのが現実です。NPO画廊にとって、会費や寄付という、販売結果に必ずしも左右されない財源の大切さがそこにあります。上質の絵と鑑賞者の関わりを深めるという役割を貫くことで、NPO画廊は個性的な個人経営画廊の存立の基盤作りにも寄与します。

 

スタッフルームの机に向かうと右斜め上に見える一角には時折作品が展示されます。お互いの指定席が近いことからある時は特別な親しみを感じたりも。今年からスタッフに加わりました。よろしくお願いします。(井上美雪)


   

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