2005年9月


2005年8月の絵屋

2005年10月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog  


 
2005年9月2日〜9月10日
企画 大倉宏

渡邊 博(わたなべ ひろし)
■1938年新潟市生まれ。熊谷喜代治にデッサンを学び、後笹岡了一に師事。日展、光風会に出品し66年光風会会員となるが、68年退会。以後は紀伊国屋画廊、美術ジャーナル画廊、現代画廊、ギャラリーXepia、ギャラリー銀座汲美(いずれも東京)などで個展により発表。新潟での個展は91年新潟伊勢丹、02年新潟絵屋に続いて3度目。

←「アンビヴァレンス−S」 2005年
 水彩、紙 75.5×56.5cm

 

渡邊 博HP
http://www3.point.ne.jp/~hige-67/index.htm

この展覧会の前に一度、富浦の渡邊さんのアトリエを訪ねたかったのだが、できなかった。最近渡邊さんは、ホームページを自分で作り、近作も画像で載せている。だから、どんな絵を描いているかは分かるが、絵と映像は違う。
かさかさっという音のする絵、というのが、私の渡邊さんの絵の印象。その魅力的な音が、画像からは聞こえない。実際その音を聞いていると、いつしか絵は消え、なつかしい暗がりに放りこまれる。そして見えないが、私にとって大切な、何か親しいものの気配が現れるはずなのだが、それはどうもインターネットや液晶画面が好きではないらしい。
渡邊さんの水彩画を、まとまって見るのは今回が初めてだ。油彩とは違う音が聞こえるのだろうか。その音と絵屋の壁が触れあって、何が現れるだろう。展示の瞬間が、なんだか待ち遠しい。 (大倉 宏)

 


 
2005年9月12日〜9月20日
企画 大倉宏

林 哲夫(はやし てつお)
■1955年香川県生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒業。79〜80年渡欧し英仏に滞在。本業の画家のほか、本の装丁を手掛け、古書愛好家であり、エッセイスト、評論家としても活躍。書物同人誌『ARE』(94〜98年)、『sumus』(99年〜)を編集。近著に『読む人』(スムース文庫)、『歸らざる風景―林哲夫美術論集』(みずのわ出版)。他に『林哲夫作品集』(風来舎)、『古本デッサン帳』(青弓社)、『喫茶店の時代』(編集工房ノア、第15回尾崎秀樹記念大衆文学研究賞受賞)等。http://www.geocities.jp/sumus_livres/

←「燈台」 2005年 油彩、パネル 36.5×51.5cm

京都の林さんとメールでやりとりして、今回は風景で、ということにした。
5年前の個展は「本の絵」で、絵屋がその時だけ古書店に早変わりしたようだった。あれから林さんは何冊も本を出し、書く人としても多忙になったらしい。最近、電車内でスケッチした「読む人」というシリーズも印刷で送ってもらい、面白かったが、今回はそれでも、風景でいきたい。一度アトリエで見た風景画の、不思議な感じが忘れられないのだ。
果てのない広がりのまま、辞書のようにずっしりとしたモノに見える空。絵という幻影でありながら、実在より実在感のある木立、灯台。それはドストエフスキイの作中人物が、現実の人より現実的なのに似ている。
本に夢中になって、ふっと見上げた一瞬の空が、一冊の古本のようにここにあるよう。(大倉 宏)
 

 
2005年9月22日〜9月30日
企画 中林二郎

山田修也(やまだ しゅうや)
■1959年新潟市生まれ。石橋犀水に師事。日本書道芸術専門学校に勤務、教壇に立った後独立し、全国佑友書道会を設立。伊豆、東京、佐渡、京都で個展。01年上原仏教美術館で「修也・書心展」が開催され作品集が刊行される。02年全国書道研究会書藝舎佑友を創設し、毎年東京で「書の仲間展佑友」を主宰する。

いかりや長介さんの本を読んでいて、小学校時代の恩師が井上有一氏であったことを知り、現代美術の分野にも少なからず影響を及ぼすほど異色な活動をした書道家の、そのダイナミックで開放的な作風と、長さんのウッドベースそのままのような筋張って骨太な面白さに、共通点があるようで妙に納得できた。同時に以前から気になっていた、とある居酒屋の看板を思い出した。店の正面一杯をほぼ埋める黒塗りした板に白い塗料で書かれた文字は勢いがあり、井上有一的なるものとして、私の記憶に残っていた。しばらくして、それが山田さんの仕事であることを聞いた。本業の書道の確かな腕前は存じていたが、こんな活動も行っていたのかと驚きもしたが、字をよく知った人が創り出す世界をもっと見てみたいと思った。頑固な伝統の継承者は、柔軟な未知の開拓者でもあるようだ。(中林二郎)
 

 

砂丘館開館記念 砂井正七遺作展
砂丘館の開館記念として7月24日市山流舞踊鑑賞会が開かれ、小山芳寛さんのトークに続いて畳の上で舞われた市山七十世さんの「青海波」は、流麗で力のある動きで観衆を魅了しました。蔵のギャラリーでは大正12年27歳で没した画家砂井正七の遺作展が7月20日から始まりました(8月21日まで)。わずか27歳で逝った砂井が残した8点の自画像は、一点一点がすべて違っていて、魅力的です。

 

新潟絵屋5周年に思う 

 新潟絵屋も早丸5年が過ぎた。絵屋周囲の風景もオープン当初と比べると、殺風景な寂しい姿になってしまった。絵屋に来られる方は皆その様な思いをされているはず。
 反面オープンの頃から、下(しも)町での色々な町づくり系の活動が活発になり、下町の魅力を引き出す仕掛けがあちらこちらで見受けられるようになる。それと同時に古い建物や歴史を感じられる町並みに関心が高まり、古民家や町屋といった歴史的遺産が保存活用されるようになった。先駆けといったら大げさだが、絵屋はそういった意識の火付け役であったとも言える。今絵屋のメンバーも所属している「新潟まち遺産の会」もそういった歴史文化が次世代へ継承できるよう様々な活動をしている。絵屋から広がるその様な活動で、新潟が魅力ある街へ変わっていくことを期待したい。
 町並みが劇的に変わった5年、これからの5年後6年後は魅力ある街に劇的に変わっていて欲しいと思っている。
 (新潟絵屋運営委員・伊藤純一)


NPO法人新潟絵屋第一回総会

7月14日新潟市市民活動支援センターでNPO法人新潟絵屋第一回総会が開かれました。昨年度(05年3月〜5月)の事業報告、決算報告、05年度の事業計画と予算案、および役員が承認されました。


「コーヒー」の立札がテーブルの上に出ていないことがありますが、裏メニューの紅茶も含めて、たいていの場合は提供できます。どうぞ気軽に注文なさって下さいね。運がいいとお菓子が付くかも。(C)


   

2005年8月の絵屋

2005年10月の絵屋

  新潟絵屋あんない 作家INDEX Blog