2006年3月


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2006年3月2日〜3月10日 企画 大倉宏

Ingo Gummels(インゴ・グメルス)
■1931年北ドイツ、ヴィルデスハウセン生まれ。少年時より肖像画・風景画家の父エルヴィン・グメルスより絵画の指導を受ける。61〜88年レーゲンスブルグで矯正歯科として働く。89年以降画業に専念。ドイツ各地の画廊、美術館で個展、グループ展多数。ドイツ芸術家協会、ドイツ芸術職人協会会員。2002年新潟絵屋、06年2月ギャラリー・ゴトウ(東京)で個展。

 

←「One of my little worlds(51)」
  油彩、キャンバス 30×30cm 2005年

インゴさんの絵屋での展覧会は2回目になる。今回は2月末に東京でも展覧会があり、絵屋の会期前半にはインゴさんご夫妻も遠路新潟に来られる。
インゴさんの絵は白と灰色、その中間のトーンがとても美しい。
美しさは内容の豊かさということだろう。このホワイト/グレーのトーンに目をひたすと、しっとりした流体のリズミカルなうごめきや息づかい、心地よい冷気の感触、重厚で清澄で楽しげな楽の音を感じる。スケールの大きな自然の風景を前にしたような、のびやかで、弾むような、それでいてゆったりした気分が溶けているよう。キャンバスという半透明ガラスの向こうに広がる空間の中で、さまざまなものが動き、漂い、きらめき、揺れている。はっきり何かとは分らないそれらと一緒に、はっきり分らないからこそたぶんいっそう強く、生き生きと、見る私の心も揺れる。 (大倉 宏)

 


 
2006年3月12日〜3月20日
企画 大倉宏

いまきみち(今木 道)
■絵本作家。1944年神戸生まれ。武蔵野美術大学卒業。73年『あそぼうよのえほん(全3冊)』(福音館書店)を出版。以後、かきわけ版で多数絵本を出版。90年神田神保町の美学校の工房で本格的に版画(石版、銅版)制作を開始。94年世田谷けやき美術館で初の個展。以後、生活と絵の係わる空間で個展、グループ展を多数開催。2001、02年新潟絵屋で個展。

 

←いまき みち 「マリーゴールドシリ−ズ」 
 エッチング 40×36cm 2006年

西村繁男(にしむら しげお)
■絵本作家。1947年高知県生まれ。74年に東京国立博物館で開かれた「日本の絵巻展」
を見たことがきっかけとなり、独自に日本画の技法を学び絵本を発表するようになる。自ら観察絵本と名付けた独特の作風の絵本が多数ある。主な絵本に『おふろやさん』『やこうれっしゃ』『絵で読む広島の原爆』(福音館書店)など。

 

←西村繁男 「市松君金魚に乗る」
 リトグラフ 25×22cm 2006年

今は中学生になった上の子と、最初に読んだ絵本は、いまきみちの『さようなら こんにちは』だった。絵の簡潔さ、「絵本」という形式が内容と不可分になっている等の点で、日本の絵本のモダニズムの一様式を示す傑作だと感じる。一方いまきさんのパートナー西村繁男さんは、言葉のない絵本『やこうれっしゃ』に見るように、細部の観察描写を積み上げて全体を作り上げていく絵本作者。資質はむしろ対極なのに、お二人は仲がいい。共作絵本もある。
いまきさんのシンプルな絵に日本の生活感があり、西村さんの絵本に大胆な実験的試みがあるのは、素敵なパートナーシップの賜物なのだろう。
いまきさんの個展は2度開催させていただいたが、西村さんとの二人展は始めて。絵屋の展示室で、二つの世界がどんな化学反応をおこすのか、楽しみだ。 (大倉 宏)

 


 
2006年3月22日〜3月30日
企画 大倉宏

Emmie(エミィ))
■1978年生まれ。群馬県出身。2001年アメリカ、マサチューセッツ州、Montserrat College of Art卒業。02年12月新潟絵屋にて2人展。05年6月Fujimamas Restaurant(原宿)、同年7月PUGA2(青山)にてグループ展参加。新潟市在住。

←「scene I 」
 アクリル絵の具、キャンバス S12号  2005年

Emmieさんは、私にとってはまだ未知数の画家だ。
4年前の鶴巻加代さんとの2人展では、色の明快さという点では共通しつつ、鶴巻さんのエネルギッシュな絵とは別種の、ゆるやかさとでも言うような感覚が、いいバランスを会場に作り出してくれた。そのゆるやかさを単独で見たらどうだろう、と好奇心を抱きながら3年が過ぎた。専門学校の常勤講師という仕事の多忙もあってか、その後新潟での発表はなく、だったらと声をかけての今回の個展になった。
これを書いている時点で、新作はまだ1点しか見ていない。その1点から浮かぶ言葉が未知数。でもこの未知数は、期待や好奇心という言葉にも置き換えられる。ゆるやかの向こうに垣間見える何かを、会場でゆっくり見つめてみたい。 (大倉 宏)
  
 

 

小林家住宅が登録文化財に
南毘沙門町の小林家住宅が国の有形登録文化財になりました。昭和13年の建築。通り土間はありませんが、坪庭を持ち、座敷が玄関近くに配される間取りなどに新潟町屋の特色を残した住宅。絵屋からも風格のある姿を見ることができます。登録文化財は築後50年以上の建造物等を対象とし1996年に発足した制度で、新潟下町ではほかに大橋屋、クワバラ商店、石山味噌の味噌蔵などがあります。


 

堀川久子 
 絵屋デ踊ル「道に口笛」

口笛を吹きながら信田俊郎展会場に現れた堀川さん。路上に移動する頃から雪が舞い出し、再び会場に戻るとガラス戸の向こうは吹雪。最後はまた外に飛び出し、吹き荒れる雪中の舞いになりました。劇的に変貌する天候と舞踏した緊張感に満ちた1時間でした。


 ある日私はふと気づいた。一年間NYにいて、小説家とは遭遇しなかったのにアーティストとはけっこう出会ったこと。生まれ故郷の松山にも工芸家や画家の知人がいること。なんかこれってもったいない。私は絵屋の正会員。そうだ、大倉さんに紹介しよう。それが事の始まりだった。まず篠原乃り子さんを紹介した。伊藤純一さんが手をあげてくれて個展の実現に至った。それならと他の人も紹介していたら企画委員の声がかかった。見る人から見せる人へ。誘われるまま川を渡った。毎月の会議は錚々たる顔ぶれだが会報の発送作業をしながらの世間話が楽しい。新潟に住んで七年、私は地域社会と関わる機会がなかった。子どもに恵まれず会社員でもないし。私にとって、企画委員になったことは社会的ひきこもりから抜け出す輝かしい第一歩かもしれない。 (新潟絵屋企画委員 敷村良子)


チューリップの停留所、犬夜叉号、ドカベン号でおなじみの観光循環バス。市内中心部の画廊、美術館を一日で回りたい方にお勧めします。主な美術館、絵屋、砂丘館、姉妹画廊フルムーン、いずれも徒歩3分圏内にバス停がありますし、¥500の一日乗車券なら美術館等の割引特典も付いています。(c)


   

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